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2008年10月12日(日) 21時25分

内閣発足まもなく3週間 「チーム麻生」本格始動へ産経新聞

 麻生内閣が発足してもうすぐ3週間を迎える。当初は「選挙管理内閣」ともいわれていたが、麻生太郎首相は衆院解散・総選挙を当面は見送る姿勢にあり、自ら人選した官邸スタッフがいよいよ本格始動する。「チーム麻生」から見る麻生カラーを探ってみた。

 ■サプライズの河村氏

 最大のサプライズといわれたのが河村建夫官房長官(衆院山口3区、6期)の起用だった。河村氏は自民党伊吹派に所属し、他派閥から「女房役」を起用するのは異例だ。接点も「文教族」ぐらいしかない。野党議員とのパイプがあるうえ、「衆院選中でも東京にいられるほど選挙に強い」(麻生氏周辺)ことが起用の大きな理由とされるが、「河村氏と同郷で、首相の盟友ともいえる安倍晋三元首相の進言」(閣僚の一人)という指摘もある。

 政務の官房副長官には松本純氏(衆院神奈川1区、3期)と鴻池祥肇(よしただ)氏(参院兵庫、3期)を充てた。首相にとって松本氏は、衆院初当選時に議員会館にある自分の隣の部屋に入らせたほど側近中の側近にあたる。松本氏の進言には真剣に耳を傾けるともされ、夕食の相手にすることもしばしばだ。

 鴻池氏は日本青年会議所(JC)からの付き合い。首相の2代後のJC会頭を務めた。

 事務担当の副長官には、元自治事務次官の二橋正弘氏に代え、漆間巌前警察庁長官(昭和44年入庁)を起用した。主に旧厚生省や旧自治省の出身者が就くポストだったが、警察庁出身者は田中、三木両内閣で昭和51年まで務めた川島広守氏以来と、これも異例人事のひとつだ。

 首相は漆間氏について「拉致事件に傾注するなど困難な事件に取り組む姿勢を評価していた」(官邸関係者)という。

 ■異例の秘書官増員

 首相秘書官を増員したことも大きな特徴だ。

 首相秘書官はこれまで、首相のベテラン秘書などが就く政務担当1人と、事務担当として財務、外務、経済産業、警察の4省庁出身者で構成されていたのを、首相は新たに総務省からも起用した。

 総務省官房審議官だった岡本全勝(まさかつ)氏は、首相が総務相時代に交付税課長を務め、首相の信任を得たといわれる。また、地方再生担当として、「郵政造反組」だった山口俊一氏(衆院徳島2区、6期)を首相補佐官に、末吉興一・前北九州市長を内閣官房参与にそれぞれ起用した。

 事務次官級の官房副長官補は内政、外交各担当の2人を代えた。なかでも、外交担当だった河相周夫氏(外務省50年入省)はわずか2カ月弱で外務省官房長の林景一氏と交代となったが、福田康夫前首相と麻生首相との外交路線の違いが影響したとの見方もある。

 「チーム麻生」の編成にあたり、「首相は自分の内閣という意識が強く、自ら人事を手がけることに非常にこだわりがあった」(麻生氏側近)という。「居抜き」状態で発足させた福田前内閣と比べれば、結束の固さを感じさせるが、自民党からは「イエスマンばかりにならないか」(ベテラン)と、「お友達内閣」とか「少年官邸団」と揶揄(やゆ)された安倍元内閣の“再来”を懸念する声もある。

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