記事登録
2008年10月12日(日) 21時06分

<テロ指定解除>拉致家族に冷静な声も「制裁一つ解除だけ」毎日新聞

 米政府による北朝鮮に対するテロ支援国家の指定解除から一夜明けた12日、拉致被害者の家族らは改めて憤る一方、「数ある制裁のうち一つが解除されただけ」と冷静に受け止める声も上がった。

 家族会前代表の横田滋さん(75)は「シーファー駐日米大使は『六十いくつもある制裁のうちの一つが解除されるだけだ』と言っていたのでそんなに影響がないと思う」と指摘。その上で「日本としては8月の合意(拉致問題再調査)の実行を強く求め、それでも応じないなら独自の制裁をすべきだ。この(指定解除)問題と拉致問題はあまり結びつける必要がないと思う」と述べた。

 一方、妻の早紀江さん(72)は「やはりショック。流動的な部分もあって(北朝鮮が)きちんと約束を守らなければ解除をやめることもあり得ると聞いているので、成り行きをしっかり見つめていかなければならない」と話した。

 家族会の飯塚繁雄代表(70)も宿泊先の大阪市内で報道陣に「北朝鮮にとっては経済の課題が解決され、日本との交渉で大きなカードを持った。拉致問題の引き延ばしや中断が心配される」と懸念を示した。その上で「一生懸命やってきたことが功をなさない。むなしさを感じる」と話した。【笈田直樹、石原聖、村松洋】

 ◇有本さん父親ら 継続へ署名活動

 指定解除を受けて、拉致被害者の有本恵子さんの父明弘さん(80)は12日、兵庫県明石市のJR明石駅前で、支援団体とともに対北朝鮮経済制裁継続などを日本政府に求める署名を呼びかけた。明弘さんは「指定解除は(拉致問題に)影響しないと思っている。日本政府は北朝鮮としっかり交渉して全員を戻してほしい」と述べた。【南良靖雄】

【関連ニュース】
テロ指定解除:拉致問題「理解」 米大統領が首相に電話
テロ指定解除:拉致家族に落胆と怒り「裏切り行為だ」
北朝鮮拉致:被害者家族会が麻生首相と初面会
北朝鮮拉致問題:早期解決求め緊急国民集会 家族会など
北朝鮮拉致:日朝首脳会談6年 いらだち隠せぬ横田夫妻

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081012-00000061-mai-soci