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2008年10月12日(日) 20時49分

G20、金融危機克服へ連携 経済・財政政策を総動員産経新聞

 【ワシントン=本田誠、渡辺浩生】先進7カ国(G7)にロシア、ブラジルなどの新興国を加えた主要20カ国財務相・中央銀行総裁会議(G20)は11日、臨時会合を開き、金融危機克服のため、先進国と新興国が緊密に連携し、各国が経済・財政政策を総動員することで合意した。国際通貨基金(IMF)の主要24カ国による国際通貨金融委員会(IMFC)も同日、公的資金による金融機関への資本注入などG7の行動計画を支持する共同声明を採択した。G7に続く両会合で、各国は金融危機打開に向けて協調体制を強化する姿勢を明確に打ち出した。

 G20の臨時会合は、金融危機の影響が世界経済を下支えしていた新興国にもおよび、世界同時不況の懸念が強まっているため、ポールソン米財務長官が開催を呼びかけた。会合にはブッシュ米大統領も急きょ出席、「危機に全力を挙げて立ち向かう」と説明、金融機関への公的資金注入や資金供給などで危機脱却に全力を尽くすことを訴えた。

 会合後の共同声明で「今回の金融危機を乗り越えるため、国際金融市場の規制、監督、総合的な機能の向上に向けて協力を深める」と表明し、前日の10日にG7が発表した危機克服のための行動計画を支持した。中川昭一財務・金融担当相は会合後、記者団に対し「G7と同じ方向性の結論が出された。現状の認識は共有しており、先進国と新興国が連絡をとりあって、しっかり対応していくことを確認した」と、会合の成果を説明した。

 一方、IMFCは声明で、「金融危機の悪影響は新興国に波及する」と警告、先進国と新興国が協調した大胆な行動が不可欠と指摘した。

 IMFのストロスカーン専務理事は記者会見で、「世界の金融システムは崩壊寸前に陥っている」と指摘。米欧中央銀行による協調利下げなどこれまで取られた対策も「市場安定化の目標に達していない」という厳しい認識を示し、「追加的な動きが今後数カ月で必要となる」と述べ、金融機関に対する資本注入の早期実施を求めた。

 また、中川昭一財務・金融相が、金融危機への対応で財政難に陥った新興国などを支援する新たな融資制度の創設を提案した。議長国エジプトのガリ財務相は、IMF加盟の185カ国がG7の行動計画を「信頼回復に不可欠」と全面的に支持したと強調した。

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