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2008年10月12日(日) 20時05分

【金融危機】G7でどうなる東京市場 一定の評価も、なお下落が大勢産経新聞

 10日に開かれた先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は、金融危機克服に向けた異例の行動計画をまとめた。G7の動向を注意深く見守っていたエコノミストらの間には、「相当に突っ込んだ形」(矢嶋康次ニッセイ基礎研究所主任研究員)と一定の評価を与える声も出ている。一方で、市場には早くも「次の政策」を催促する空気が濃厚だ。米金融機関への公的資金注入など米当局による具体的な行動がない限り、連休明け14日からの東京株式市場はなおも下値を探る展開が続くとの見方が広がっている。

 G7では通常、経済情勢の分析や課題を盛り込む「声明」をまとめる。だが、今回は行動計画を発表するという異例の対応をとり、JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストは「各国当局の危機意識は伝わった」という。

 それでも市場関係者が不満なのは、詳細が決まっていないことだ。米金融機関に対する資本注入についても、金額や注入先が決まっていないため、市場を覆った不安感は消えず、「行動計画程度では、買いの意欲が出るのは難しい」(菅野氏)との見方が支配的だ。

 大和証券SMBCの西村由美グローバル・プロダクト企画部情報課次長も、対策の具体化を求め、売りが優勢となる「催促相場がさらに続く」とみている。

 日経平均株価の10日の終値は8276円43銭。7営業日続落し、その間の下げ幅は3000円を超えた。8000円割れの安値圏に入れば、(一時的に下がった局面で買う)押し目買いが入りやすいとみられるが、西村氏は「思い切った押し目買いにはつながりにくい」と話す。

 一方、菅野氏は「バブル後最安値更新を論じるレベルにはとどまらない」とし、平成15年4月28日に記録したバブル後最安値(7607円88銭)を超えて下げる可能性も指摘する。

 週明けからの1週間は、「現在の金融危機にとって勝負の1週間」(菅野氏)となる。米政府はスピード感のある政策を打ち出すことができるのか。市場の先行きはこの1点にかかっている。

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