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2008年10月12日(日) 19時57分

<イラン>大統領選にカルビ元国会議長が立候補を表明毎日新聞

 【テヘラン春日孝之】来年6月のイラン大統領選に向け、改革派の重鎮、カルビ元国会議長(71)が12日、立候補を表明した。有力者では初の出馬表明。これまで保守強硬派のアフマディネジャド大統領の再選が確実視されてきたが、インフレの加速で国内経済が厳しさを増すなか、大統領への逆風が強まっている。改革派の間ではハタミ前大統領を担ぐ動きもあり、今後の経済情勢も絡んで、選挙戦の行方は不透明感を増しつつある。

 カルビ氏は会見で立候補の理由について「今の状況を変化させたい」と述べ、アフマディネジャド大統領の経済、外交政策を批判。「国民の生活最優先」を掲げ、外交では「(大統領のような)価値のない(過激な)発言で国家に負担をかけたくない」と強調。「イスラエル以外とは良い関係を構築したい」と述べた。

 イラン経済は年率約30%のインフレに達し、原油価格下落で政府歳入も落ち込んできた。政治・経済評論家のサイード・レイラズ氏は取材に「経済が悪くなればなるほど、大統領の再選は難しくなる」と予測する。アフマディネジャド大統領は前回選挙で「富の公平配分」を掲げて当選したが、インフレが支持層の貧困層を直撃しているからだ。

 レイラズ氏は「カルビ氏は改革派勢力の2番手。最有力のハタミ氏待望論が国民の間に高まりつつある」と指摘。「ハタミ氏が立候補すれば、穏健派政権樹立に向けカルビ氏は出馬を辞退する可能性が高い」と説明する。

 カルビ氏は前回05年の大統領選にも出馬し、3位の得票だった。改革派の別の有力候補と票を分け合い、上位2人の決選投票に進めなかった。

 一方、保守派の間では、反大統領派のラリジャニ国会議長やガリバフ・テヘラン市長が出馬の動きを見せている。ハタミ氏が出馬すれば、こうした有力者が出馬を取りやめる可能性も指摘されており、結果的に反大統領派勢力が結集する状況も排除できない。

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