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2008年10月12日(日) 18時24分

「209系」まもなく引退も…新たな“変わり種”が続々産経新聞

 平成5年に初の新系列車両としてデビューし、首都圏通勤電車のコンセプトをがらりと変えた「209系」。寿命半分という大胆な発想で生まれたが、今も多くの路線で活躍中だ。平成21年度末までには京浜東北線で姿を消すものの、訓練車や試験車として第二の人生を歩む車両もある。“変わり種”も加わり、「209系」のラインアップはまだまだ充実しそうだ。

 「209系」は国鉄から民営化したJR東日本が、「重量半分・寿命半分・価格半分」の大胆なコンセプトで開発した通勤車両。このコンセプトは「E231系」や「E233系」など最新車両にも受け継がれ、「209系」以降は「新系列車両」としてグループ分けされている。

 「重量半分」は、モーターの付いた電動車の編成全体に対する比率を下げたり、台車や車体、機器を軽量化したことで実現。社会の要請でもあった省エネルギーに努めた。

 「寿命半分」は、従来の使用期間の半分にあたる13年間(走行距離200万キロ程度)で使い切りその後は廃車とし、車両が古臭くなったり技術革新の恩恵が受けられなくなることを防ぐ発想から生まれたという。

 「13年」は鉄道車両の減価償却期間でもあり、その時点で廃車にしても損害が出ないように、維持費がかさむ大規模補修を避けるため、寿命は半分ながらも従来より頑丈に造られていた。

 「価格半分」は、大量生産に適した車体構造を新たに開発したほか、電動車を減らしたことによる初期投資の低減、汎用ステンレスを採用したことなどによるメンテナンスフリー化などで実現した。

 JR東日本によると、9月末現在で営業線を走る現役車両は78編成696両。内訳は、京浜東北・根岸線10両×56編成(0番台53編成、500番台3編成)▽中央・総武緩行線10両×12編成▽常磐緩行線10両×2編成▽南武線6両×2編成▽川越・八高線4両×6編成−。

 青いラインの京浜東北線を走る「0番台」は「209系」の代表格。車体幅が広く黄色いラインの中央・総武緩行線を走る「500番台」は、山手線や常磐線を走る「E233系」の基礎を築いた。緑のラインで先端部に非常扉のある常磐緩行線の「1000番台」は唯一地下鉄に乗り入れる。

 このうち京浜東北・根岸線では最新の「E233系」830両を投入する計画が進められており、平成21年度末までに姿を消す予定。一方で、今年に入り乗客を運ぶ営業列車ではなく訓練車や試験車に改造され、第二の人生を歩み出すケースが相次いでいる。

 東京大宮総合訓練センター、横浜総合訓練センター、八王子総合訓練センターの3カ所で1編成2両の訓練車が導入され、11月から川越車両センター(埼玉県川越市)に配属された試験車「MUE−Train(ミュートレイン)」1編成7両が東北線、川越線などの営業線で走行試験を重ねる。

 機器類の交換時期を迎えて引退する車両はあるものの、十分なメンテナンスを受けさえすれば、寿命の13年を過ぎてもまだまだ元気な姿を見せてくれそうだ。

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