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2008年10月12日(日) 06時03分

波乱の人生 悲劇の夫→疑惑の夫→無期懲役→逆転無罪→万引き逮捕→サイパン逮捕→自殺…スポーツ報知

 米ロサンゼルスで1981年に起きた銃撃事件で、今年2月にサイパンで逮捕、拘置され、10日にロサンゼルスに移送された三浦和義元会社社長(61)=日本では無罪確定=が同日午後10時(日本時間11日午後2時)頃、収容先のロス市警本部内の留置場で首つり自殺した。政府関係者が明らかにした。ロス到着からわずか17時間後だった。三浦元社長は14日に罪状認否のためロス郡地裁に出廷する予定だった。発生から27年、主役の死で「ロス疑惑」の真相は闇に葬られることになった。

 三浦元社長は波乱万丈の人生だった。1981年11月の当時の妻・一美さん(当時28)銃撃事件では、自らも左足を撃たれ、涙ながらに妻を語る“悲劇の夫”として世間をにぎわせた。

 だが、84年1月19日発売の「週刊文春」(同26日号)が「疑惑の銃弾」と題した追及記事の連載を開始。元社長の立場は“疑惑の夫”へと一変する。長身でイケメン、派手な青年実業家だった元社長を、メディアは執拗(しつよう)に追い回した。

 事件は「ロス疑惑」と呼ばれ、捜査とともにメディア報道が先行する“劇場型犯罪”の代表格となる。愛車のフェアレディZで報道陣と派手なカーチェイスを繰り広げる元社長の一挙手一投足に、国民が注目した。

 85年、ついに元社長は一美さんへの殴打事件で逮捕される。88年には銃撃事件で再逮捕。裁判は85年から2003年まで、約18年間にも及んだ。殴打事件では懲役6年の実刑が確定。だが、銃撃事件では1審で無期懲役となったものの、2審では逆転無罪判決が下された。

 03年の最高裁決定で国内における「ロス疑惑」は終了した。その後も万引き事件などで世間を驚かせた。無罪決定の通知を受け取った元社長は涙ながらに語っている。「感慨無量だが、警察、検察、マスコミに対して憤りを覚える。今、逆にあらためて『ロス疑惑とは何だったのか』を聞いてみたい」。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081012-OHT1T00106.htm