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2008年10月11日(土) 15時44分

四川大地震から5カ月 大阪のボランティア 震災孤児に募金 復興なお遠く産経新聞

 中国・四川大地震で親を失った学生を支援しようと、在日の中国系外国人を支援するボランティア団体「関西生命線」(大阪市西区)が、街頭で集めた募金約73万円を四川大学(成都市)の新入生8人に手渡した。四川大地震は12日で発生から5カ月を迎えるが、現地を訪れた伊藤みどり代表(59)によると、撤去されず全壊したビル群に囲まれ、なおテント生活を余儀なくされる被災者もいたという。

 関西生命線は、日本で生活する中国系外国人らを対象に、台湾語と北京語による「いのちの電話相談」を行っている。平成7年の阪神大震災や11年の台湾大地震でも被災者を支援しており、四川大地震後の6月には大阪、神戸両市内で街頭募金を実施。総額73万1452円を集めた。

 活動に賛同した神戸市内のプロテスタント系教会からも寄付金が得られ、伊藤代表ら3人が9月28日から10月2日まで四川省を訪問。地震で親を失った悲しみを乗り越え、四川大学へ今秋、入学した男女8人に募金を手渡した。

 このうち、震源地の●川県で被災し、寮生活を送っている女子学生(19)は、震災で母親を亡くした。父親は勤務先の小学校が倒壊した影響で成都市へ移住。本人は心の傷を負い、物音に過敏になったという。

 伊藤代表らは滞在中、この女子学生の祖父母がいる都江堰市を訪ねた。祖父母が住んでいたマンションは全壊扱いにされて入れず、祖父母は近くの広場にテントを張って暮らしていた。

 同市内ではほかにも商店やスポーツ施設などの建物があちこちで倒壊したまま放置され、立ち入り禁止が解除されていない区域もあった。中国人らしき観光客が、こうした建物を背景に記念撮影している姿もみられたという。

 伊藤代表は「中国には北京五輪など華やかなイメージがある半面、震災の爪痕は想像以上に深かった。多くの日本人の善意で学生たちを救うことができた。今後も学生たちと交流を続けていきたい」と話している。

 ●=さんずいに文

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081011-00000121-san-soci