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2008年10月11日(土) 15時44分

G7 金融危機「行動計画」 “震源地”米国の行動カギ産経新聞

 「世界同時不況」も現実味を帯びつつある中、先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は金融機関が公的資金による資本増強を図ることで合意し、米国が公的資金による金融機関への資本注入を具体化する姿勢を示すなど、ひとまず金融危機からの脱却に向けた決意を強調した。

 G7の直前、米国は金融機関への資本注入を検討すると表明。欧米6カ国・地域の中央銀行も協調利下げを発表するなど危機脱却に向けた対策が固まりつつある半面、市場には金融対策の実効性への疑念が消えていない。世界の株式市場は大幅下落を続け、株式投資の盛んな米国では、個人消費の冷え込みがさらに深刻化する恐れもある。

 「これまでのG7と違って、簡潔ではっきりした内容になった」

 中川昭一財務・金融担当相はG7閉幕後の記者会見で、強い自信を示した。日銀の白川方明総裁も「行動を強く意識し、明確なメッセージで送る」と「声明」ではなく「行動計画」として合意内容をまとめた理由を説明した。

 しかし、公的資本注入の必要性や証券化商品市場の安定化といった行動計画は金融危機の波及した欧州に比べ、対策の遅れた米国をターゲットにしているとの指摘も出ている。

 週明けの市場に良い意味で「驚き」を与え、株価反発につなげることができるか。行動計画には織り込み済みの施策を追認した部分も含まれるだけに、国際連携の難しさを露呈した面は否めない。

 今後のカギを握るのは、米国で十分な資本注入が行われるかどうかだ。

 金融危機を背景に減速感を強める世界経済が早期回復に向かう道筋は不透明だけに、金融危機にむしばまれつつある企業や家計など実体経済の行方も大きな焦点となる。(ワシントン 本田誠)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081011-00000117-san-bus_all