記事登録
2008年10月11日(土) 14時14分

<汚染米転売>「浅井」「ノノガキ」責任なすり合う毎日新聞

 汚染米の不正転売問題で、接着剤製造会社「浅井」(名古屋市瑞穂区)と転売先の米穀仲介業「ノノガキ穀販」(三重県四日市市)の主張が食い違っている。農薬に汚染された中国産もち米がなぜ食用として流通したのか。愛知、三重両県警合同捜査本部は、食の安全を脅かした不正転売の実態解明を急ぐ。【福島祥、桜井平】

 農林水産省東海農政局によると、農薬メタミドホスに汚染された中国産もち米570トンを、浅井が政府から購入したのは06年12月〜07年5月。浅井は1キロ5円前後で購入し、ノノガキに同約50円で転売した。ノノガキは4府県の米穀業者や菓子製造業者に同百数十円で転売。汚染米は食品として少なくとも18業者に流通した。

 東海農政局の調査に対し、浅井の浅井利憲社長は「ノノガキから『米を売ってくれ』と言われた」と回答。9月11日には毎日新聞などの取材に「2〜3年前から転売を始め、中国産で事故米と告げて販売した。食用になるとは思わなかった」と釈明した。

 これに対し、ノノガキの野々垣勝社長は9月12日未明、取材に「取引をもちかけたのは先方から。10年ほど前からの知り合いで『こういうのがある』と誘われた」と説明。その上で「サンプルをもらって先方の意向の価格を聞いて決めた。普通の取引で食用と思った。事故米との認識はなかった」と真っ向から否定した。

 出荷した汚染米の形状についても両者の主張は食い違う。浅井社長は「工業用のり原料として転売したため、すべて粉っぽい形に破砕して売った」と説明。一方、野々垣社長は「食用の丸米として仕入れた」と反論する。

 合同捜査本部は家宅捜索で浅井本社などから押収した資料の分析を進めると共に、関係者から任意で事情聴取し、汚染米が流通した経緯を解明する。安い事故米を食用と偽って販売して利益をあげた疑いもあり、詐欺容疑での立件も視野に捜査する方針だ。

【関連ニュース】
汚染米転売:「浅井」など強制捜査 愛知・三重県警
汚染米転売:「浅井」など強制捜査 愛知・三重県警
汚染米:「浅井」社長、食品利用承知で出荷か 強制捜査へ
汚染米:不正転売容疑の「浅井」を告発 農水省
汚染米:農水省が「浅井」ルート告発の方針 近く強制捜査

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081011-00000047-mai-soci