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2008年10月11日(土) 21時57分

【三浦元社長自殺】黒い帽子に最後のメッセージ?産経新聞

 【ロサンゼルス=松尾理也】サイパンからロスへ到着し、ロス市警本部に収監されたばかりの三浦和義元会社社長(61)=日本で無罪確定=が10日夜、自殺した。「戦いの準備はできた。ロスに行く」。そう言い残してサイパンを後にした三浦元社長。ロスの土を踏んだまさにその当日に死を遂げるという、あきらかに計画的な自殺に、関係者は言葉を失った。

 「今は何も情報がない。朝まで待て」。三浦元社長自殺の一報を受けた報道陣からの問い合わせが殺到したロス市警の当直者は、混乱した様子で繰り返すばかりだった。

 10日、20時間近い移送を経て、ロサンゼルス国際空港に降り立った三浦元社長。サイパンからの飛行機には多数の日本の報道陣が同乗したが、問いかけに対しても「一切コメントはしません」と口をつぐんでいた。

 移送完了を受けて、この事件の捜査を担当するリック・ジャクソン捜査官は10日午前、ロス市警本部で会見。今回の捜査で来日した際、三浦元社長の妻で何者かに殺害された一美さんの母親に会い、捜査の進展を報告するとともに、一緒に墓参したエピソードを明らかにするなど、思い入れたっぷりに捜査への自信を語っていた。

 「ロス市警は、短い一生を終えざるを得なかった一美さんのために、たいまつ(トーチ)を掲げ続ける」。そんなふうに意気込んでいたジャクソン捜査官は、それから半日あまりで、思いもかけない結末に直面することになった。

 三浦元社長は、14日に予定されていた罪状認否での初出廷まで、ロス市警本部で身柄を拘置され、その後、郡警察が管轄する拘置施設に移動するはずだった。

 自殺や、トラブルのおそれがある収容者に対しては、24時間の監視態勢がとられるはずだが、三浦元社長がどのような取り扱いを受けていたのかは明らかになっていない。いずれにせよ、「Tシャツで首を吊ったようだ」(関係者)という状況は、ロス市警の失態以外のなにものでもないだろう。

 元社長は移送を通じて、大きく「ピース、ポット、マイクロドット」と書かれた黒い帽子を着用し続けていた。大麻やLSDといった規制薬物を意味するスラングであるこれらの単語を並べると、「さよなら」を意味するヒッピー用語になる。あるいは、同情から非難、支持から嫌悪まであらゆる関心を集め続けてきた元社長の最後のメッセージだったのか。

 ロサンゼルス郡管内で拘置されている容疑者については、同郡警察のホームページから、すべての収容者について動向が把握できるようになっている。元社長の事件番号は「1655698」。死亡の事実はまだ、掲載されていない。

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