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2008年10月11日(土) 21時48分

<三浦元社長>面会12時間後…因縁の地ロスで最期毎日新聞

 日米両国の捜査と司法のはざまで無実を訴え続けた元輸入雑貨販売会社社長、三浦和義容疑者(61)が、因縁の地のロサンゼルスで自殺したことは、日本の支援者や事件関係者に大きな衝撃を与えた。85年に警視庁で最初に逮捕されてから約23年。日本で無罪を勝ち取り、米国で再び逮捕されるという異例の経過をたどった事件に、三浦元社長は自ら終止符を打った。

【写真特集】ロスでの自殺まで 三浦元社長のたどった道を振り返る

 【ロサンゼルス吉富裕倫】10日に自殺した三浦和義元社長は同日午前、収容先のロス市警本部の独房でロサンゼルス日本総領事館の担当領事と面会し、元気な様子を見せていた。「食物アレルギーなので、油で揚げたものは食べることができない。そう警察に言ってほしい」と食事に注文し前向きな様子だったという。

 三浦元社長は午前5時(日本時間午後9時)前ロサンゼルス国際空港へ到着。その後、ロス市警の留置場へ収監された。ロス市警は午前9時(同11日午前1時)から会見。捜査官の一人は「(元社長は)『とても疲れた』と話していたので、しばらく眠るだろう」と話していた。

 しかし、三浦元社長はその約50分後、日本総領事館に電話し「留置場内で読書はできないと言われたが、確認してほしい」と領事との面会を要請した。すぐ市警本部を訪れた領事に対し、元社長は「元気だ」と答えた。

 拘置所へ移るまでの暫定的な施設のため読書ができないと説明され納得。「14日に裁判所に出廷するので、それまでに弁護士に会いたい」と話したほか、提供される食事の内容に注文をつけた。面会した領事は「顔色も良く、(本人の)言葉通り元気そうだった」と語った。見回りの目をかいくぐり、自殺を図ったのは約12時間後の11日午後9時45分(日本時間午後1時45分)ごろだった。

 ◇遺族「なぜこのような事態に」

 神奈川県平塚市の三浦元社長方は2階に明かりがついているが、反応がなく誰が在宅しているのかは分からない。午後8時半ごろ、男性が出てきて「三浦和義 親族より」と書かれた文書を詰め掛けた報道陣に配った。

 文書には「ロスでの拘束中に亡くなったとの知らせを、領事館より受けました。現在も、米国政府からは、なんら具体的な説明がいただけないのが現状です。拘束中、最低限守られるべきことが、なぜこのような事態になったのか、悲しみと共に、遺憾に感じております。日本政府からも、早急な事実確認を早急にお願いしたいと思います」と書かれていた。

 報道陣が「(妻の)良枝さんのコメントですか」と問うと、男性は「親族です」と繰り返した。建物には関係者とみられる男女が出入りしたが、報道陣の問いかけには答えなかった。

 一方、ロス銃撃事件で亡くなった三浦元社長の当時の妻、一美さんの母佐々木康子さん方(川崎市川崎区)には報道陣十数人が詰めかけた。家の電気は消え、ひっそりしたまま。向かいのアパートに住む女性によると、佐々木さんは1人暮らしで15日まで国内旅行に出掛けているという。

 この女性は「ロス疑惑の後に引っ越してきたので、まさか(佐々木さんが)関係者と知らなかった。事件の話はほとんどしたことがない。夕食時にテレビで自殺を知り、びっくりした」と話した。【渡辺明博、中島和哉】

 ◇ゲラゴス弁護士「ショックだ」

 【ロサンゼルス吉富裕倫】三浦元社長のロサンゼルスでの弁護人、マーク・ゲラゴス弁護士は11日、滞在先のイタリアからAP通信の取材に答え、「ショックだ。弁護団のうちの一人は昨日、彼(元社長)と12時間一緒にいた。彼は元気そうで、この裁判を闘うつもりだった」と述べた。

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081011-00000098-mai-soci