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2008年10月11日(土) 17時00分

あっぱれ…10月10日は「慎之助の日」だ!夕刊フジ

 10月10日は「慎之助の日」だ! 10月8日の「ジャイアンツの日」に阪神との天王山を制した巨人が、10日のヤクルト戦に勝ってセ・リーグ連覇を達成。大一番で主役を張ったのは、キャプテンの阿部だった。

【助っ人の力引き出す】

 4回に先制24号ソロを放ち、6回にも適時二塁打。試合前、球団関係者に「今日は(先発が)グライシンガーだから、打撃に集中できるよ」と語った通りの活躍だ。自らの頭脳に絶対の自信を持つ新加入の助っ人右腕とは、開幕当初は配球面でかみ合わず悩んだ。だが、次第に阿部は「どんなサインを出しても首を振るから」と割り切り、配球のすべてをグライシンガーに任せて成功した。

 この柔軟さが、ベテランぞろいの巨人で、29歳ながら主将を任される阿部の真骨頂だ。気分よく放れるようになったグライシンガーは、17勝目を挙げ2年連続の最多勝を手中にした。

 「今日は10月10日。(阿部の)背番号が10だから、今日、優勝が決まりますよ」。妻の悠さんが阿部の母・由紀子さんにそう予言していたという。阪神が負けて見事に的中。ここまでは文字通り「慎之助の日」だった。

 ところが、好事魔多し。とんでもない落とし穴が待っていた。6回の適時二塁打の直後、二塁走者としてリードを取り、けん制球に頭から帰塁した際、右肩を痛めて途中退場。都内の病院に向かい、原監督の胴上げには参加できなかった。

 試合後のビールかけには、三角巾で右腕をつった痛々しい姿で駆けつけ、「今日はせっかく僕がヒーローだと思ったのに…。何とか早く復帰するよう頑張るのが、これからの仕事と思ってやります」と乾杯のあいさつをしたが、検査の結果は「右肩関節挫傷」。22日から始まるクライマックスシリーズ、さらに日本シリーズに出場した場合も、阿部の出場は微妙になった。

【“ミラクル”でCS出場を】

 観戦していた父・東司さんは、息子が両足をバタバタさせて悶絶する姿を目の当たりにして顔面蒼白になりながら、「あいつは大げさというか、痛がりだから…。慎之助は中央大学3年の時、東都大学リーグの1、2部入れ替え戦の前日、練習中にノックをこめかみに受けて病院へ運ばれた。心配したが、精密検査で骨に異常がないと分かると、その日のうちに帰ってきて、翌日の試合にも出た。それを思いだしたよ」と努めて平静を装い、息子の頑丈さにいちるの望みをかけた。

 山あり谷ありは、この日だけではない。13ゲーム差をひっくり返した巨人のチーム成績も、阿部自身も、波瀾万丈のシーズンだった。

 オープン戦で左すねを負傷した影響で、開幕直後は打率1割台の絶不調。そんな中で4月には長女・眞子ちゃんを授かった。星野ジャパンの正捕手として8月の北京五輪に出場したが、1次リーグ・韓国戦では過去の野球人生でなかったほどの大悪送球をするは、最後の3位決定戦では中大時代に出場した00年シドニー五輪同様に最後の打者となるは、散々だった。それでも、9月に入ってからの阿部の打棒復活がなければ、巨人の逆転優勝はなかっただろう。

 CS出場というミラクルをもう一丁、起こすことができるか。そうなってこそ、「10月10日 慎之助の日」も輝きを増すのだろうが…。

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