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2008年10月10日(金) 02時31分

<国選弁護>報酬過大請求、背景に引き受け弁護士の不足毎日新聞

 被疑者国選弁護の報酬請求が、接見回数を裏付ける書類の提出を不要とする簡便なシステムを取っている背景には、引き受ける弁護士の不足がある。法テラスには1万3427人(今年4月1日現在)の弁護士が登録しているが、地域差が激しく現在も弁護士確保の困難な地域がある。来春、対象事件が約10倍に拡大するとさらに多くの弁護士が必要とされ、法テラス幹部は「手続きを複雑化すると引き受ける人がいなくなるかも」と懸念する。

 東京都心の場合、10坪の弁護士事務所を構えると一等地でなくても月約20万〜30万円の家賃が必要。光熱費や事務員の雇用を考慮すると維持費だけで月50万〜60万円かかる。一方、接見で得られる報酬は1回2万〜2万4000円にすぎず、刑事事件に詳しい弁護士は「準備・移動などで半日がかりなのに、仮に毎日接見しても月60万円。報酬が少なすぎる」と訴える。

 容疑者の人権を守り冤罪(えんざい)を防ぐために、被疑者段階の国選弁護が必要なのは言うまでもない。一方で多額の税金を投入する以上、ノーチェックで支出を認める現状は許されない。法テラスはもちろん、法務省、日本弁護士連合会は協力して改善策を打ち出すべきだ。【小林直】

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