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2008年10月10日(金) 21時44分

<死刑囚>2割近くが面会なし…市民団体調査で判明毎日新聞

 全国の拘置所にいる死刑囚を対象に市民団体が生活実態についてアンケートを実施したところ、2割近くが誰とも面会していないことが分かった。06年5月の刑事収容施設・受刑者処遇法の施行で、死刑囚の面会相手の範囲は拡大されたが、依然外部との接触が乏しい実態が浮かんだ。

 実施したのは「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90」。同法施行後の全国調査は初めて。7〜9月に死刑囚105人に用紙を送付し、回答した77人のうち執行されていない人ら74人について集計した。面会については「ない」が19%(14人)。「ある」は78%(58人)、未回答3%(2人)だった。「獄中生活で一番苦しいこと、つらいこと」を自由記述で尋ねると7人が「外部交通の制限」を挙げ最多。

 同様の調査は日本弁護士連合会が06年1月に実施し「面会人なし」は26%だった。質問形式などが異なり単純比較はできないが、同法施行で面会の対象者は広がっているものの、依然孤立した死刑囚も目立つ傾向がうかがえる。集計したフォーラム90の国分葉子さん(58)は「面会が弁護士のみの人もいる。家族や友人に会えている人は、もっと少ないと思う」と話している。

 同法は死刑囚の面会相手について(1)親族(2)重大な用務の処理に必要な人(3)心情の安定に資する人−−と明記しこれ以外でも拘置所長の裁量で許可できると規定した。改正前は通達で「死刑囚の心情の安定を害する恐れのある場合は許可しない」と、対象者を厳しく制限していた。

 フォーラム90は11日午後1時半から東京都新宿区の角筈区民ホールで集会を開き、アンケート結果などを紹介する。【武本光政】

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