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2008年10月10日(金) 22時37分

【三浦容疑者移送】長い道のり 入り口は法律論争産経新聞

 サイパンでの突然の逮捕から7カ月。紆余曲折の末、三浦和義容疑者(61)の身柄が事件現場であるロスに移された。だが、「入り口」段階の法律論争はまだ決着しておらず、検察側は「まだいくつも乗り越えなければならないハードルが残っている」と表情を引き締める。

 移送後の司法手続きはまず、裁判所に出頭しての罪状認否から始まる。米国は11日から3連休に入るため、出廷は14日午後と決まった。

 一貫して無実を訴えている三浦容疑者は、全面否認が確定的。否認した場合、通常なら起訴するに足る証拠がそろっているかどうかを検討する「予備審問」に移る。

 しかし、今回はその前に、同じ罪で2度訴追されることはないと定めた「一事不再理」原則に照らし、日本で無罪が確定した三浦容疑者を米が訴追することは可能かどうかについて、法律論争がさらに続くことになる。

 三浦容疑者が申し立てた逮捕状無効請求では、ロス郡地裁は殺人容疑は無効、殺人の共謀については有効とする判断をすでに下している。

 しかし、検察側は9日、この決定について不服を申し立て、再審理の第1回期日も決まった。殺人容疑が復活すれば、最高刑は再び死刑となる。一方、弁護側は「共謀についても、訴追は一事不再理原則に抵触し、無効」と逆の立場から同様の申し立てを行うのは必至だ。

 この「入り口段階」の法律論争が決着するまでに、長ければ数カ月かかる可能性がある。

 この後、予備審問が始まればようやく、検察側が日本の裁判には提出されなかった「新証拠」を持っているのかどうかなど具体的な事件の中身についての議論が始まる。

 しかし、予備審問で起訴が認められ、裁判開始にこぎ着けたとしても、その後、証拠や論点の整理、陪審員の選定などの裁判前手続きはかなり時間がかかることが予想される。今月、有罪の評決を受けた元フットボール選手、O・J・シンプソン被告(61)の場合、昨年9月の逮捕からは1年、予備審問開始から数えても10カ月、裁判開始までにかかった。

 陪審による裁判が始まれば、通常は長くても数週間で評決に到達するが、三浦容疑者が有罪になった場合は控訴することができる。裁判終結までは、まだまだ長い道のりとなる。

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