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2008年10月10日(金) 10時04分

ハイビジョン対応へ、どこまで進化するのか「レコーダー」japan.internet.com

Blu-ray と HD DVD の熾烈な次世代 DVD 争いに決着がついてから、すでに9か月の月日が流れ、映像を記録できる映像録画機(以下、レコーダー)は、ハイビジョン時代へとその歩みを加速させている。

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高画質なハイビジョン映像を家庭でも録画できる Blu-ray レコーダーは、注目度も高く、カカクコムの調査でも未所有者のうちの5割は「購入したい」または「購入を検討している」との回答結果が出ている。

・この1年で急普及の BD レコーダー、今後は価格がカギか? - カカクコム調べ

Blu-ray レコーダーは急速な低価格化が進んでおり、レンタルショップには Blu-ray ソフトやメディアが置かれているほか、Blu-ray ドライブを搭載したモバイルノートパソコンも登場し始めている。

・「ゲオ」も Blu-ray ディスクのレンタルを開始 - Techinsight Japana
・軽くてコンパクトな Blu-ray 搭載 PC - ソニー

そこで、今回は映像を録画するレコーダーの歴史をひもときながら、新世代の Blu-ray ディスクの魅力とその技術に迫ってみよう。

■世界初のビデオレコーダーは?

今や当たり前となった映像レコーダーの発祥を知る人は、あまり多くない。まずは、映像録画機の歴史を振り返ってみよう。

世界初のビデオレコーダーには諸説あるが、商業的に最初に成功したビデオテープレコーダーは米国の AMPEX が1956年に発売した「VRX-1000」とされている。VRX-1000 は記録メディアに2インチ(約5.1cm)幅のテープを使用し、価格は5万ドル。当時の導入はテレビ局や大きな製作会社に限られていた。

その後、ソニーと Philips が1963年、それぞれ独自の工夫を凝らしたビデオレコーダーを発売したが、これらは業務用であり家庭向けのビデオレコーダーの登場は、ソニーが1965年に発売した「CV-2000」まで待たなければならなかった。

ちなみに当時のビデオレコーダーのテープは着脱可能な製品でもオープンリード式であり、カセット式のように簡単に着脱できるものはまだ存在していなかった。

■ビデオテープ10年戦争が勃発 - VHS vs ベータ

ビデオレコーダーの歴史を語るうえで、「VHS」と「ベータ」の争いを避けて通る訳にはいかないだろう。どちらもカセット式テープを使用したが、両者に互換性はなく、家電メーカーや市場を2分しての戦いは10年にもおよんだ。

●VHS 規格
日本ビクターは1976年、家庭用ビデオレコーダー向けに「VHS」と呼ばれるビデオ規格を開発した。VHS はもともと「Vertical Helical Scan」の略称だが、のちに「Video Home System」が略称として定着した。

●ベータマックス規格
ソニーは1975年、「ベータマックス(Betamax)」と呼ばれる家庭用ビデオレコーダーの規格を開発していた。ちなみに「ベータマックス」の名前の由来だが、ギリシャ文字のベータのようにヘッドにテープを巻き付ける、あるいはテープ上にガードバンドをとらないで記録する(ベタで記録する)ことに由来するとされている。

●なぜ、VHS 規格は勝利できたのか
VHS とベータとの規格争いはおよそ10年に渡るという長期戦となったが、VHS 規格が最終的に生き残ることになる。

VHS 規格がベータ規格に勝った理由としては、VHS 規格を採用するメーカーを積極的に獲得した点と、記録時間を最初から2時間に設定し長時間化(3倍モードなど)に成功した点が大きかったといわれている。

VHS は今日(2008年現在)まで利用されてきたが、映像記録に接触式の磁気テープを使用しているため、テープの摩耗や磁気の劣化によるデータの消失が避けられないという弱点があった。こうした弱点を克服し、テレビの高画質化や長期保存、さらなる長時間記録への要望から、新しいレコーダーの登場が待ち望まれていた。

・ビクター・JVC の歴史(PDF) - ビクター
・記録メディアの歴史 - ソニー

■DVD 登場!磁気から光学の時代へ - 非接触式メディアへの変遷

記録メディアの時代は、接触式という仕様により経年劣化が大きい磁気テープから、非接触式である光ディスクへと変遷していくことになる。

●DVD レコーダーと HDD/DVD レコーダー
VHS レコーダーに代わって一般家庭に普及したレコーダーは DVD レコーダー(DVD/HDD レコーダー)だ。DVD レコーダーは DVD-Video の再生に加え、記録型 DVD に映像を録画する。

HDD/DVD レコーダーは DVD レコーダーにハードディスクを搭載したモデルで、テレビからハードディスクに録画し、録画データを DVD メディアにも記録できるメリットがある。

DVD メディアは VHS 規格のビデオテープに比べて保存性に優れ、小さく湿気に強いという特徴がある。メディアへの記録や再生にレーザー光を使用するため、テープのような接触による劣化はないが、まったく劣化しないというわけではない。

光メディアも太陽光などによる光学的な劣化があり、これらは後述する次世代 DVD でも同様だ。

2003年12月、地上デジタルテレビジョン放送が開始され放送地域が拡大していくと、「ハイビジョンレコーダー」と呼ばれる地上/BS/CS デジタルチューナーを搭載したレコーダーが登場した。

ハイビジョン放送は MPEG-2 TS のファイルとして電波で送信されたが、DVD-Video の規格は MPEG-2 PS 以外の記録には対応していないので、DVD レコーダーではどうしても画質を落とす必要があった。

また、ハイビジョン放送を高画質で記録するには、メディアのディスク容量も不足しており、次世代 DVD の必要性が強く叫ばれるようになった。

■ハイビジョンへ次世代 DVD 競争 - Blu-ray vs HD DVD

DVD レコーダーの次に登場した次世代 DVD は、テレビのハイビジョン放送を高画質のまま録画するために考案された。ソニーや松下電器産業、シャープなどによる Blu-ray ディスク陣営と、東芝を中心とする HD DVD 陣営が、次世代の標準規格をめぐり激しい競争を展開した。

●青色レーザーで高密度化を実現
次世代 DVD が DVD よりも大容量化できたのは青色レーザーのおかげだ。DVD は波長が 650nm(ナノメートル)の赤色レーザーを使用しているのに対し、Blu-ray ディスクと HD DVD はいずれも波長が 405nm の青色レーザー光を使用している。

青色レーザーは赤色レーサーよりも高密度である分、メディアに照射されるビームスポットも高密度であり、これにより限られたメディアの大きさの中にたくさんの情報を書き出すことができる。

直感的にわかりやすい例をあげてみよう。レーザーを鉛筆の芯に例えると、ビームスポットは芯の先にあたる。青色レーザーは赤色レーザーに比べて芯の先が細いので、同じ大きさのメディアであっても高密度に情報を書き込めるわけだ。

●ディスク容量の違い
Blu-ray ディスクと HD DVD とでは、ディスク容量も異なる。

Blu-ray ディスクでは、単層の光ディスク(25GB)の場合、BS デジタル放送(1920×1080i、24Mbps)なら2時間強の、地上デジタル放送(1440×1080i16.8Mbps)なら3時間強の映像を、メディアに残すことができる。

また HD DVD では、片面一層の光ディスク(15GB)の場合、BS デジタル放送(1920×1080i、24Mbps)なら、約75分の映像をメディアに残すことができる。

Blu-ray ディスクと HD DVD はいずれも青色レーザーを採用しているが、 Blu-ray ディスクは 0.1mm の深さに記録層があるのに対して、HD DVD は DVD と同様に 0.6mm の深さに記録層があった。

そのため HD DVD は DVD の製造機器の一部を流用でき、メディアの製造コストを抑えられるというメリットがあったものの、賛同するメーカーの多さから Blu-ray ディスク陣営が最終的に勝利を収める結果となった。

記事提供:livedoor コンピューター

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