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2008年10月09日(木) 02時13分

<ノーベル化学賞>「名大時代基礎に」学長ら喜び毎日新聞

 前日は、卒業生から初めてのノーベル賞受賞者が一挙に2人も誕生し、お祝い気分に包まれた名古屋大学。それからわずか24時間後の8日夕、同大理学部で助教授を務めた米ボストン大名誉教授、下村脩さん(80)が化学賞に輝いた。世界最高峰の賞のラッシュに、2夜続けての祝賀ムードにわき返った。【中村かさね、木村文彦、岡崎大輔、米川直己】

 名大では平野眞一学長が記者会見した。7日発表された物理学賞受賞について会見をした直後の、この日2度目の会見。「毎年、ノーベル化学賞はいろんな方の名前を思い浮かべながら待機していたが、大変うれしい」と喜びを語った。

 連日の快挙に、「素晴らしいニュースをもう一度聞くことができた。研究者としての基礎を名大で作ってアメリカに行かれた」と満面の笑み。「今日は家に帰らないで喜びをかみ締めます。こういうことは何度あってもいいからね」とおどけた。

 下村さんは、研究生として同大の門をたたき、01年にノーベル化学賞を受賞した野依良治・名大特別教授の師でもある故平田義正氏に師事した。昨年2月に名大で講演した際にも「平田先生にあこがれて名大に来た。ここで一生懸命やったことが基礎になっている」と語ったといい、平野学長は「長身で格好よくシャイな方。根っからの研究者です」と印象を語った。

 近藤孝男・同大大学院理学研究科長は「受賞対象となった緑色蛍光タンパク質はきれいなだけでなく、この分野で最もよく使われる。下村先生の研究がなかったら今の生物学は成り立っていないだろう」とたたえた。

 この日、名大では広報担当の職員が受賞発表まで待機していた。受賞者が下村さんと分かると、連日の受賞に、信じられないという表情を浮かべた。

 平田研究室で同門の上村大輔・慶応大理工学部教授(62)は、受賞の知らせを受けて急きょ新幹線で名大に駆けつけた。「コツコツ続けることの素晴らしさ、基礎科学の重要性を示した好例だと思う。平田先生の下では大変苦学され、(受賞を聞いて)胸が詰まる思いがした」と喜んだ。

 「素晴らしい発想と方法を自ら作って成し遂げる神の手を持った方。生涯を一つのテーマに捧げ、努力することの素晴らしさを示した」とたたえた。

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