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2008年10月09日(木) 00時43分

民主、新テロ法改正案の成立容認 早期解散迫るねらい産経新聞

 民主党は8日、衆院本会議で平成20年度補正予算案に賛成したのに続き、インド洋での海自の給油活動延長をはかる新テロ対策特別措置法改正案の今国会での早期成立を容認する姿勢を打ち出した。麻生太郎首相が重要とする補正と新テロ法改正案を処理させ、早期解散を迫るねらいがある。また、首相が国際貢献を衆院選の争点にするのを封じ込める思惑もある。このため民主党は新テロ法改正案に反対するが、与党の賛成多数で1日で衆院通過させても構わないとの立場をとり、与党側が審議日数確保を唱える異例の「ねじれ状態」となった。

 「テロ特はずいぶん長く論議し、与野党の賛否の結論も変わらない。いたずらに審議引き延ばしはしない。補正と同じ考えだ」

 民主党の山岡賢次国対委員長は8日の記者会見で、こう強調した。

 8日午後3時の衆院議院運営委員会理事会。同法改正案は本会議での趣旨説明、質疑を省きテロ防止特別委員会に直接付託すればいい−と主張する民主党理事に、与党理事は「奇異に映る。ありがたいが、理由を聞かせてほしい」とかみついた。

 政府提出法案は、与党側が早期成立を目指し、野党側が徹底審議を求めるのが通例だからだ。

 だが民主党は、首相や与党が、新テロ法改正案の審議を解散先延ばしの口実にすると疑っている。

 「選挙管理内閣が補正と新テロ法が大事だというから片づけてやるんだ。それで解散しないなら、麻生は臆病風に吹かれて選挙から逃げるってことだ。第2次補正予算は準備から成立まで1カ月半かかる。その間に選挙できる」

 8日夕、民主党国対幹部は記者団にこう息巻き、今月21日には野党が多数の参院で新テロ法改正案を否決し、与党に衆院再議決を迫るシナリオを披露した。

 「民主党は、本会議での質疑をやりたくないんだってよ!」

 自民党の大島理森国対委員長は8日夕、9日の衆院本会議で同法改正案の質疑が行われないことが決まったことを受け、国会内の廊下で声を荒らげた。

 与党側には、1月の臨時国会で参院を通過した民主党の対案を審議で取り上げ、「法案の不備や民主党内の足並みの乱れを追及して火だるまにする」(与党幹部)とのもくろみがあるからだ。

 民主党が審議短縮をはかるのは、こうした与党の攻勢をかわす狙いもある。

 また、「民主党政権ができても、アメリカに支援を求められる。今のうちに新テロ法案を通しておく方が得策だ」(同党幹部)との虫のいい話まで民主党内で取りざたされている。当面は海自の活動を継続させ、落としどころをさぐる時間稼ぎとなる−との見方だ。

 一方、共産党の穀田恵二国対委員長は8日の会見で「きっちり議論することが自民党を追いつめることになる。民主党のやり方は重要法案でないとするものでけしからん」と怒りをあらわにした。

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