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2008年10月09日(木) 00時43分

超低価格車ナノ分散生産へ タタ自動車、発売は来年1〜3月期産経新聞

 【シンガポール=宮野弘之】インドのタタ自動車は7日、超低価格車「ナノ」の主要生産工場を同国西部のグジャラート州に建設することを正式に発表した。また、ナノの発売は当初計画より遅れ来年1〜3月期とし、そのために既存の工場で分散生産を始める。西ベンガル州で進めていたナノの新工場建設が地元住民らの反対で中止に追い込まれたため、新たな用地を探していた。タタが新工場建設に失敗すれば、インドに対する投資意欲を冷え込ませることも懸念されていた。

 タタ・グループのラタン・タタ会長は7日、地元紙エコノミックタイムズとのインタビューで、「グジャラート州では安全に用地を手に入れられ、必要な物がそろっていた」と述べ、税制の優遇措置など州政府の対応に加え、地元住民の反対がなかったことが同州に決めた理由であることを明らかにした。

 タタ自動車幹部によると、同州アーメダバードのサーナンド地区に建設する新工場では将来的には年間50万台のナノを生産するほか、電気自動車や天然ガス車も生産する予定。ただ、操業開始までには1年以上かかるため、北部ウッタラカンド州パントナガールと西部マハラシュトラ州プネにある2カ所の同社工場で先行して、ナノの生産を始める。このため発売時期は当初の10〜12月期より遅れて来年1〜3月期となる。

 タタ自動車の新工場建設が決まったことで、地元では工場従業員の住宅に加え、学校や病院、商業施設などが整備されることによりグジャラート州の基盤整備が進み、投資拡大につながると期待している。

 タタが進めていた西ベンガル州シングールでの工場建設では、同州の共産党政権が進めた強引な土地収用に地元農民が反発。これに野党勢力が加わり、用地返還や賠償を求めていた。

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