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2008年10月08日(水) 17時46分

韓国と日本のリッチ層、似ている点と似ていない点Business Media 誠

 1997年のIMFショック(アジア各国の通貨下落により、IMFは韓国に支援した)以降、2007年まで、株価や地価の上昇によりリッチ層が増えた韓国。金融資産5億ウォン(約4300万円)以上保有する韓国のリッチ層と、金融資産1億円以上を持つ日本のリッチ層に違いはあるのだろうか。

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 韓国でも日本でも多くのリッチ層は、企業経営者とプロフェッショナル(開業医、公認会計士、弁護士など)。しかし韓国リッチ層の資産形成の方法は有価証券や不動産の価格上昇によるところが大きいが、日本は所得や退職金を貯蓄してしていることが、野村総合研究所の調べで分かった。また日本のプロフェッショナルは所得を蓄積していくことに力を入れているが、韓国は所得の蓄積に加え、相続や資産運用を組み合わせる傾向があるようだ。

 また韓国と日本のリッチ層が取引する金融機関を比較すると、両国とも国内系の銀行(日本はメガバンク、地銀・第二地銀)が多い。国内系銀行に次いで、韓国では外資系銀行との取引が目立っているが、日本では大手証券会社と取引をしている人が多いようだ。

 韓国と日本は戦後の右肩上がりの経済成長によって富を蓄積してきたこと、銀行を中心とした規制の強い金融制度が続いたこと、銀行・証券などの業態間の規制緩和が進み始めたこと、少子高齢化のスピードが速いことなど、リッチ層を取り巻く環境において共通点が多い。「しかし韓国の経済や社会が成熟化していくと、韓国のリッチ層は資産運用が難しくなるだろう。欧米型のプライベートバンキングをそのまま輸入するのではなく、遺言信託(遺言者の財産を信託会社に移転し、その財産を管理・運用してもらう)や事業承継サポート(現在の経営者からほかの人(後継者)に引き継ぐ形で譲渡すること)など、経済の成熟化や人口高齢化に対応したサービスが必要」(野村総合研究所)としている。

 韓国の調査対象者は世帯の金融資産5億ウォン以上(ソウル市内)で60歳以下、日本は世帯の金融資産1億円以上(全国)で59歳以下。韓国では個別面接(FAXや郵送も含む)で148人、日本では郵送による調査で81人が、それぞれ回答した。調査時期は韓国が2008年2月〜4月、日本が2007年1月〜3月。

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