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2008年10月08日(水) 00時00分

原音をありのままに高音質録音読売新聞

リニアPCMレコーダー PCM−D50(ソニー)

本体右側中央にある録音レベルダイヤルでレベルを調整し、液晶上のピークメーターと、その上部にあるピークLEDの両方で録音レベルの確認が可能。操作がシンプルなので、多機能ながらとても扱いやすい。録音時は、三脚(別売り)があると便利だ

 ミュージックプレーヤーとして、あるいは語学学習や楽器の練習まで、幅広く高音質サウンドを楽しめるレコーダー。自然の音を集めてヒーリングCDを作るもよし、自分の演奏を録音して永久保存できる。

 自然の中を散策していると、小鳥のさえずりや小川のせせらぎ、木々の葉ずれの音など、思わず深呼吸をしたくなるような、心静まる気持ちのよい音につつまれる。そんなとき、「今、このままの音を残しておきたい」と思ったことはないだろうか。

 あるいは、バンドやオーケストラなどで楽器を演奏する人は、「自分の演奏を高音質で録音して残しておきたい」と思うだろう。

 そこで今回は、こうしたニーズにズバリと応えてくれる「PCM−D50」を紹介する。

 ごく一般的なデジタルレコーダーは、音源をMP3などに圧縮するため、どうしても音質が落ちてしまう。一方「PCM−D50」は、音源を圧縮せず、原音を忠実に録音するリニアPCM録音のため、音質の劣化が一切ない。

 最近はこのリニアPCMレコーダーが人気を集めており、いくつも製品が発売されている。その中で「PCM−D50」をセレクトしたのは、まずはそのデザインにある。物欲を刺激するこのデザインは、単純にものすごくカッコいい。

高音質録音をサポートする機能

単一指向性の高感度エレクトレットコンデンサーマイクロホンを内蔵。90〜120°までの可動式で、シーンに合わせた録音が可能

 もちろん、デザインばかりではない。DAT(48kHz 16ビット)や音楽CD(44.1kHz 16ビット)を超えるリニアPCM(96kHz 24ビット)録音は、レコーディングスタジオで使用されるほど高音質だ。1音1音がリアルに記録されるため、その場の雰囲気までをも再現できる。

 また、録音レベルを調整していても、いきなり大音量になってしまい音がゆがんでしまうことがあるが、「PCM−D50」には「デジタルリミッター」がある。これは、通常の音とともに、−12dBの信号を常に記録する。これにより、大音量で音が歪んだときは、その部分を低い音声信号と差し替えることができるのだ。

 16ビット録音で20ビットに相当する録音を可能にする、ソニーの独自技術「Super Bit Mapping」も効いている。これは、人の耳につきやすいノイズを低減するとともに、より多くの情報量を記録することで、さらなる高音質の録音を可能にしている。

感動するほどクリアな音

録音した音声は、USB経由で付属のサウンド編集ソフト「SonicStage Mastering Studio Recorder Edition」に取り込んで分割、削除、曲間の音量を調整するノーマライズ、フェードイン/アウト、サンプリングレート変換などが行える。高音質CDも作成できる

 今回実際に、自然の音やスズムシの鳴き声、音楽、街中の雑踏、電車の走行音、クルマのエキゾーストノートなどを録音してみたが、感動するほどクリアな音を録音できた。

 一方、録音だけでなくMP3ファイルの再生にも対応している。このとき便利なのは、音程は変えずに再生速度だけを変えられる「デジタルピッチコントロール」。語学学習にも使えるし、楽器の練習にも最適だ。

 なお録音時間は、本体内蔵の4GBフラッシュメモリー使用時、最高音質(96kHz 24ビット)だと約1時間55分。メモリースティック PRO−HG デュオ 4GB(別売り)を併用するとさらに約1時間55分を録音できる。

 バッテリーは単3型乾電池を使用するが、約24時間の録音が可能だ。宅内の場合は、付属のACアダプターを使用できる。 (テクニカルライター・小野均)

発売ソニー http://www.sony.jp/ 本体価格5万9800円(税別) サイズ約72.0x154.5x32.7mm 重量約365g 三脚(VCT-PCM1)価格 6980円(税別) メモリースティックPRO-HG デュオ4GB価格  1万円(税別)

http://www.yomiuri.co.jp/net/column/digimono/digimono081008.htm