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2008年10月07日(火) 17時43分

【台湾】Netbook 市場の成長と ODM 企業のプレッシャーjapan.internet.com

世界的に市場拡大が続いている「Netbook」だが、その生産を請け負う台湾系 ODM 企業にとってこの傾向は必ずしも有利に働くとはいえない。

台湾系ノート PC 生産大手企業のクアンタ、コンパル、Wistron など各社は、Netbook がそれまでのノート PC 市場のシェアを奪取すると見ており、これはすなわち ODM 生産の利益率と ASP 下落に直接影響を及ぼすことになる。

短期的に見るとマイナス影響も危惧されるが、各社はどのようにこの市場を捕らえているのだろうか。

コンパル関係者は、「今年上半期も複数のブランドから様々なラインアップのノート PC 生産を受注している。Netbook は既存の市場にさらなる拡大要素を持ち込み、ノート PC 市場の成長を後押ししている。当面ノート PC の出荷や成長に影響することは無いが、価格が明らかに安い Netbook は既存のノート PC 市場の一部を取り込むことになるだろう」と指摘している。

一方、ノート PC 生産世界1位のクアンタの見解はより楽観的だ。同社関係者は、「今年一斉に Netbook が低価格市場に投入されているが、第一陣の製品が投入された後には各社とも既存のノート PC とスペック面でより接近した Netbook の発売を開始している。価格を見ても Netbook とノート PC の価格差はより近づいてきている」と指摘した。

クアンタは来年の見通しについて、Netbook がさらにその勢力を拡大すると見ており、世界的な経済不況のまっただ中にあっても Netbook は市場の拡大を続けると予測している。受託生産企業は確かに ASP(平均販売単価)の減少に直面することになるが、今後 Netbook が低価格から高価格までフルレンジでラインアップすることによって受託生産企業への影響も極限られたものになるとの肯定的な見方である。

一方、Wistron は今年年初の時点では Netbook 市場に大きな期待を寄せていなかった一社である。しかし同社は Netbook の今年の発展を目の当たりにし、今後2、3年はこの状況が続くと予想、来年からは Netbook 市場に積極的に進出をすることを決めている。

現時点では同社は Netbook 関連の受託生産を行っていない。同社は Netbook の生産を行うことで ASP や利益率に影響が及ぶ可能性はあるが、市場が一定の規模を確立した際の利益を軽視出来ないとしている。Wistron は来年、少なくとも200万台規模の Netbook 生産を予定している。

こうしてみると、Netbook が各社から発売されて数か月経ち、ODM 企業の見方にも変化が生じていることがうかがえる。一つはノート PC 自体の価格がより低価格になっていることと、Netbook も大容量の SSD を搭載するなどで、高価格帯の Netbook とノート PC の価格差が徐々に接近してきていることが大きな理由だろう。

しかし何れにせよ市場の要求はより高性能でより安価ということに代わりはなく、ODM 各社のコスト管理は益々厳しくなることは確かである。

記事提供:EMS One

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