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2008年10月07日(火) 01時21分

英国が市場に7兆円注入 欧州で預金全額保護の動き拡大産経新聞

 【ロンドン=木村正人】英国のダーリング財務相は6日、下院で未曾有の金融危機に対処するため中央銀行、イングランド銀行が7日に400億ポンド(7兆円)を市場に注入することを明らかにした。そのうえで「金融安定化のためあらゆる手段を取る」と述べ、銀行預金の全額保護についても含みを残した。

 ドイツが5日に銀行預金の全額保護を緊急発表すると、デンマーク、スウェーデン、オーストリアが後追い。英国も検討中と報じられた。英仏独伊の欧州4カ国首脳らが「欧州の協調」を表明したばかりだが、「協調」よりも「国家防衛」が優先される現実が浮き彫りになっている。

 メルケル独首相は5日、不動産金融大手ハイポ・リアル・エステートの救済策がいったん白紙になったのを受け銀行預金の全額保護を発表したが、英国は情報収集に追われた。先に預金全額保護を打ち出したアイルランドへの預金流出に頭を痛めていた英国にとってドイツの発表は想定外だったからだ。

 ブラウン英政権は、預金者保護の強化▽銀行株保有による一部国有化−などの対策を発表する予定だったが、幅広い選択肢を残すため、今回は見送った。欧州首脳は、他国への影響を省みないアイルランドの決定を「身勝手過ぎる」と批判していた。

 すでにドイツを含む欧州の6カ国が預金全額保護を表明。一致団結した安定化策を打ち出せない欧州の足並みの乱れに欧州株式市場は、英FTSE100種総合株価指数が一時8%以上も急落、独DAXと仏CAC40種指数も7〜8%下げるなど大混乱している。

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