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2008年10月06日(月) 00時31分

<パキスタン>倒壊のモスク がれき撤去され土台再建毎日新聞

 05年10月8日のパキスタン地震発生から1週間後、震源に近く最も激しい被害を受けた北西辺境州の町バラコットを訪ね、1枚の写真を撮った。がれきと死臭に覆われた町の中心部にあった、倒壊したモスク(イスラム礼拝所)。日没後、祈りをささげる被災者たちは、自然の強大な力にひれ伏し、許しを請うているように見えた。

 1年後の06年10月、再訪したモスクはがれきが手付かずのまま残され、テントがかけられていた。黙々と手足を清め、口をすすいで祈る住民たちは、癒えない心の傷を語ってくれた。

 そして震災3年の今月1日。モスクのがれきは完全に撤去され、土台が再建された。住民が断食月(ラマダン)明けの祝賀祭(イード)の祈りをささげる。

 周囲には建物が並び、遅れていた復興が動き出していることがうかがえる。現地で取材した住民や子供たちの顔が浮かぶ。その祈りは届いたのか、許しは得られたのだろうか。町が元の姿を取り戻しても、心の傷が完全に癒えることは決してないだろう。【佐藤賢二郎】

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