記事登録
2008年10月06日(月) 21時57分

耐震偽装の姉歯マンション、住民が国などに10億円損賠提訴読売新聞

 耐震強度が偽装された2つの分譲マンションの住民が、国と自治体、指定確認検査機関イーホームズ(廃業)に建て替え費用や慰謝料など計約10億4500万円の損害賠償を求める訴訟を6日、東京地裁に起こした。

 耐震偽装を巡る訴訟で、国を訴えたのは初めて。

 訴えたのは、「グランドステージ(GS)千歳烏山」(東京都世田谷区)と「GS溝の口」(川崎市)の住民38世帯57人。

 訴状によると、原告らは2002年〜04年、元1級建築士・姉歯秀次受刑者(51)が構造計算を行い、ヒューザー(破産)が販売したこれらのマンションを約4000万〜6000万円で購入した。しかし、05年11月の耐震偽装問題発覚で、いずれも解体の対象となり、住宅ローン以外に、建て替え費用約2000万円の追加負担を強いられたという。

 訴状では、「国は偽装が容易な構造計算プログラムを認定し、確認検査機関の監督も不十分だった」と主張。

 「国土交通省は02年ごろには、他の検査機関に関する不正の情報をつかんでいたのに、イーホームズなどへの立ち入り検査を怠った」と国の過失を指摘している。

 提訴後、東京・霞が関の弁護士会館で記者会見した原告の西川智さん(38)は「国は建築確認の民間開放を進めたが、経済効率を優先するずさんな検査がまかり通り、いくつもの欠陥住宅が生み出された。国民の安全を守る義務を放棄した責任は重い」と話した。

 井上俊之・国交省建築指導課長の話「確認検査機関の監督などは適正に行っており、法的責任はないと考えている」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081006-00000053-yom-soci