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2008年10月06日(月) 00時00分

映画「イエスタデイズ」原田夏希さん 単独インタビュー読売新聞

 人気作家・本多孝好氏のベストセラー短編小説を映画化した「イエスタデイズ」(窪田崇監督)が、11月1日から公開される。ヒロインの澪(みお)役を演じた女優・原田夏希さん(24)に映画の見所や、役への思いなどを聞いた。

 原田さんは、2004年度下半期のNHK連続テレビ小説「わかば」の主人公・高原若葉役で、一躍注目を集めた。その後、CM「資生堂・TSUBAKI」、テレビドラマ「ハチミツとクローバー」、韓流ミュージカル「サ・ビ・タ 〜雨が運んだ愛〜」など、多方面で活躍している。

注目点はそれぞれの決断

簡単に映画のストーリーを

主人公・聡史(塚本高史)が、余命幾ばくもないお父さん(國村隼)から、32年前、自分が付き合っていた女性を探し出して欲しいとお願いされるんです。しかも、お父さんとその女性との間には、子供がいるらしい。

 お父さんと聡史の間には確執があるのですが、聡史は願いを受け入れて、昔、その女性が住んでいたというアパートを訪ねます。すると、そこは、お父さんの大学時代の世界で。若い頃のお父さん(和田聰宏)や、当時のお父さんの彼女・澪に出会い、だんだんお父さんの気持ちを知っていく——。残された時間の中で、だんだんお父さんと聡史の心が寄り添っていくというストーリーです。

映画の見所は?

この映画の中では、それぞれの登場人物がいろんな決断をしているんです。きっと私たちも人生の中で、大きな決断、小さな決断をしながら日々生きていると思います。朝何を食べよう、何を着よう、今日何をしようってこともそうだし、そういう一つ一つが積み重なって、日常というものが構成されていくんだろうなあって。そういう意味で多くの人が、それぞれの登場人物に心が重なって、共感できる部分がたくさんある。そこが見所じゃないかなあと思います。

どこに一番共感した?

共感というより、ものすごく切ないなあと思ったのが、お父さんと息子の聡史の関係です。よく「失ってから大切さがわかる」って色々なところで聞くから、人はそれを心の奥底ではわかっているんだけど、なかなかそうなるまで実感できなかったりする。そこがとても切ないと思いました。

澪についてはどう思う?

澪は、聡史のお父さんと別れるという大きな決断をして、果たしてそれを後悔しなかった時はなかったのかっていえば、そんなことはないと思うんですよね。でも、悲しい思いをして別れたからこそ、その後の人生を幸せでありたい、後悔していないと思いたいという気持ちもあっただろうし……。ものすごくいろんな感情が渦巻く葛藤の中で生きていく澪のような女性は、すごく強いけど、悲しくてはかないなあとも思いますね。

本多さんの原作を読まれたそうですが

作品全体がすごくみずみずしい、ヒタヒタヒタって水に浸っているような感覚がものすごくあって。そういうものを映像にすると、どうなるんだろうと思いました。

ヒロインを演じることについては?

「女神」に象徴される女性、凛としていて強い女性を演じるっていうのは、自分にできるのかなあと不安に思うことはありました。でも、一番初めの読み合わせのときに監督から「意志がはっきりしていて、迷いがない女性。そういうものをきちっと表現してほしい」といわれて。具体的な像がイメージできました。

ピアノを弾くシーンがありましたが

曲全部じゃないんですけど、和音をポンと弾くところは、実際に弾きました。唯一続いたお稽古事がピアノだったので、それを今回の仕事の中でやれたってことが感慨深かったし、続けててよかったなあと思いました。

お料理が下手な役ですが、お料理は?

下手にやるのはすごく大変でした(笑)。一人でご飯を食べに行かれないタイプなので、家で作ることが多くなるんですね。麻婆豆腐とか、中華は結構得意です。

リンゴのウサギを失敗するシーンがありますが、リンゴもむけます?

はい! 大学生になる前は、実家でおばあちゃんたちと暮らしていたので、全然料理をしなかったんです。大学に入る前日の夜、お父さんの前でリンゴをむいた思い出があります。その時は全然むけなくて、「見ててすごく怖い!」っていわれたのですが(笑)。

できあがった作品をご覧になってどうですか?

見終わった直後に思ったことは、自分が出ている出ていないに関係なく、いい映画だなあと、一視聴者として思いました。その後、この作品に自分が参加できたってことは、すごく嬉しく思いました。

明彦(若いときのお父さん)と聡史、どちらがタイプ?

え〜、難しいですね。

二人とも、まっすぐ自分の道を進むタイプですよね?

そういうタイプはいいですね。誠実なほうがいいじゃないですか。優しい言葉をかけるとか甘い言葉をかけるとか、そういうことができても誠実じゃない人っていっぱいいると思うし。あんまりややこしくなくて、誠実でストレートな人がいいなあ。そのほうが一緒にいて楽しいと思います。

映画、ドラマ、CMとご活躍ですが、思い出に残る作品は?

朝ドラの「わかば」は、この世界に入って初めてのテレビドラマだったので、それが多分、自分の核になっていると思います。そういう意味では忘れられないです。

 あとは、この夏にやったミュージカル(「サ・ビ・タ 〜雨が運んだ愛〜」)。お客さんの反応が生で感じられて、楽しいという意味が、初めてわかりました。映画の中で澪が「食わず嫌いをしちゃいけない」っていう場面があるのですが、私自身も食わず嫌いを一つ克服した夏でした!

これからチャレンジしてみたい仕事は?

何でもやりたいです! ミュージカルを通して、新しいことに挑戦して取り組むことが、とても大きな経験になることがわかりました。それがわかった今だからこそ、本当の意味で、何でも挑戦したいっていう気持ちが強くなりました。

最後に、ヨミウリ・オンラインの読者にメッセージを

「決断」っていうことが今回の映画の一つのテーマで、それぞれの決断に観ている方が自分自身を重ね合わせることのできる作品です。「イエスタデイズ」を通じて何かを感じ、例えばそれが親への「ありがとう」って感謝だったり、友達に「大事だ」って伝えたり、恋人に本当の意味で「愛してる」とか「好きだ」とか伝えられる。そんなきっかけになったらすごく嬉しいと思います。多くの人に見てもらえたらいいなあって思います。よろしくお願いします。

(ヨミウリ・オンライン)

映画「イエスタデイズ」

©2008 YESTERDAYS FILM PARTNERS

キャスト:塚本高史 國村隼 和田聰宏 原田夏希 カンニング竹山 蟹江一平 中別府葵 高橋惠子 風吹ジュン ほか

監督:窪田崇

原作:本多孝好(『FINE DAYS』収録・祥伝社刊)

脚本:清水友佳子

主題歌:「イエスタデイズ 〜大切な贈りもの〜」榎本くるみ(フォーライフ ミュージックエンタテイメント)

配給:エスピーオー

公式サイト:http://yesterdays-movie.com/

11月1日(土)よりシネマート新宿ほか 全国ロードショー!

http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/rensai/20081003ok05.htm