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2008年10月06日(月) 00時38分

<iPS細胞>アデノウイルス使い副作用少なく 米で成功毎日新聞

 さまざまな細胞へ分化する能力を持つ人工多能性幹細胞(iPS細胞)を、がんなど副作用の心配が少ないアデノウイルスを使って作ることに、米ハーバード大などがマウスで成功した。

 iPS細胞は、特定の遺伝子を皮膚細胞などに導入して作る。その際、ウイルスを「運び屋」に使う。山中伸弥・京都大教授らが使ったレトロウイルスは、導入した遺伝子が染色体に無作為に組み込まれるため、がんを起こす心配があった。アデノウイルスは遺伝子を染色体に組み込まず、一時的に働かせるだけのため、副作用の心配が少ないと期待されていた。

 研究チームは、大人のマウスの肝細胞に、山中教授が使った4遺伝子をアデノウイルスで導入し、iPS細胞作成に成功した。しかし、レトロウイルスに比べて作成効率が非常に低いうえ、皮膚の線維芽細胞では作れなかった。

 水口裕之・医薬基盤研究所遺伝子導入制御プロジェクトリーダーは「今回の成果は、iPS細胞による再生医療の実現に向けた大きな一歩。今後、アデノウイルスなどを使ったヒトiPS細胞の作成や、作成効率の改善に向けた競争が加速するだろう」と話す。【永山悦子】

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