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2008年10月05日(日) 08時03分

【Re:社会部】失言は残念だが…産経新聞

 今春、三重県の公立中学で取材をしていたとき、教室内にいた女子生徒らが部活の準備でおもむろに着替え始めました。気が引けたので、取材を中断して廊下に出た私に対し、「恥ずかしがってるー」とからかう生徒らに唖然(あぜん)とさせられました。

 男性なら、女性が着替えている場所から席を外すのは常識。それなのにこの生徒たちの態度は…。担任が苦々しげに言った「三重は(ジェンダーフリー教育を推進する)日教組の王国だからね」との言葉が今でも忘れられません。

 「ゆとり教育は拙速。申し訳ない」「総合学習を見直す」…。失言で国土交通相を辞任した中山成彬氏は文部科学相時代、学校現場の視察で子供を前に過去の教育施策を謝罪しました。文科相が教育行政の過失を認めるのは極めて異例で、官僚らを慌てさせました。

 その中山氏の「放言」が改革の推進力となり、ゆとり教育の見直しや、全国学力テスト、教員免許更新制の導入など近年の教育改革のレールを敷いてきたのは確かです。それだけに、今回の失言は大変残念です。

 閣僚の発言は一言一言が重みを持ちます。不適切な表現をすれば、「放言」ではなく「失言」になります。ただ、今回の失言がきっかけで、まっとうな日教組批判も一笑に付されてしまうようであれば、それはもっと残念なことだと思います。(士)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081005-00000073-san-soci