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2008年10月05日(日) 00時00分

娘たちが授業中に居眠り読売新聞

 40歳代母親。高校生の娘は授業中に居眠りばかり。中学時代は「あれだけ寝てこの成績ならば立派」と言われましたが、さすがに高校では成績が下がり続けています。睡眠は十分とっていますが、どの科目でも眠くなってしまうようなのです。体調は悪くありません。元気に通学し、部活も習い事も続けています。

 実は、もう一人の娘も居眠りで担任から注意を受けています。私も学生時代にはよく居眠りした経験があり、今も職場の会議中に寝てしまうことがあります。娘たちも私も神経質でまじめな性格。ストレスから逃れるために寝てしまうのかも。それとも居眠りしやすい体質があるのでしょうか。

 第三者が聞いたら、悩むほどのことではないと思われるでしょう。でも、娘は大学受験も近づき焦ってきました。どうしたら改善するのでしょう。親子で悩んでいます。(千葉・I子)

 うーむ。これは少なくとも順番として、まず医学的な診断が必要だと思いますよ。つまり「過眠症」と診断できるレベルかどうかですね。そうだとすると、神経質だからとか、体質的な問題ではかたづけられず、ましてストレスから逃げているという解釈は当てはまりません。過眠症はいろいろな原因で起こりますので、鑑別診断が必要です。

 代表的なのが「ナルコレプシー」です。まだ原因は不明なのですが、日中のひどい眠気が主な症状です。明確な遺伝病ではないのですが、血縁者に多く生じやすいとのデータもある。ただ、典型的な場合、驚いたり笑ったりなど、何らかの激しい感情の動きがあった時に、その場で発作的に眠ってしまう、という特徴的な症状もある。これを含めて、神経内科などでの診断が必要です。ナルコレプシーには有効な薬物療法もありますから。

 ほかにも過眠症の原因として非定型うつ病や睡眠時無呼吸からくる日中の眠気などもありますが、娘さんの場合、年齢や生活の様子からは該当しないようです。何だか人生案内というより医療相談になってしまいましたが、必要な情報をお伝えできたでしょうか? (野村 総一郎・精神科医)

http://www.yomiuri.co.jp/jinsei/shinshin/20081005-OYT8T00200.htm