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2008年10月05日(日) 22時35分

ドイツ不動産金融大手「HRE」5兆円救済策が白紙に読売新聞

 【ロンドン=是枝智】ドイツの不動産金融大手ヒポ・リアル・エステート(HRE)は4日夜、独金融界から350億ユーロ(約5兆円)の信用供与を受けるはずの救済策が白紙に戻ったと発表した。

 破綻(はたん)すれば欧州市場に大きな混乱を招きかねないため、独政府は5日、新たな救済策の検討に入った。

 メルケル首相は5日記者会見し、「HREの経営がドイツ全体の銀行システムに影響を与えることがあってはならない」と述べた。

 HREは、資金調達のために、不動産担保融資などを証券化した抵当証券を発行している。抵当証券はドイツ全体では8900億ユーロ(約129兆円)の発行残高があり、そのうち1割以上をHREが占める。

 地元メディアによると、HREは預金を持たないため、資金調達は抵当証券の発行や金融市場からの借り入れで賄っている。ただ、最近は資金繰りが悪化しており、特に、HRE傘下のアイルランドの銀行の資金繰りが逼迫(ひっぱく)し、危機的な状況が続いているという。

 HREが破綻すれば、抵当証券を保有する投資家などが多額の損失を被る恐れがある。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081005-00000035-yom-bus_all