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2008年10月05日(日) 21時27分

<欧州4カ国首脳会議>「救済基金」は不発 足並みの乱れも毎日新聞

 【ロンドン藤好陽太郎】フランスなど欧州4カ国首脳らによる緊急会議は、金融危機を封印するため、「あらゆる必要な手段を取る」ことが強調された。しかし、フランスが銀行救済基金構想提案を躊躇するなど、一枚岩とは言いがたく、週明けの市場の反応を警戒する声も出ている。

 緊急対応は、首脳会議が打ち出した欧州全域の銀行監督を担う機関が、国境を超えて取引する銀行の情報収集や迅速な対応で、危機を封印できるかがカギを握る。しかし、すでに欧州では、銀行同士が資金を融通しあう短期金融市場が機能不全に陥り、資金繰り難から国有化されるケースが相次いでいる。背景には「資金を出した銀行が破たんしかねないとの疑心暗鬼が強まっていることがある」(欧州系銀行)。

 欧州の金融政策は欧州中央銀行(ECB)に一元化されているが、財政政策の権限は各国に残されたまま。それだけに、銀行救済基金が注目を集めたが、ほとんど協議されなかった。そもそも、最大の経済圏ドイツが「財政負担を押し付けられるのを嫌がり」(英系銀行)、会合前から強く反対。ユーロ圏と異なる独自の通貨ポンドを持つ英国も、知らぬ顔を決め込んでいた。

 こうした中、銀行の資金繰り破たんの恐怖にかられたアイルランドやギリシャはすでに預金の全額保護を決定。それぞれが自国経済を恐慌の淵から救い出すため、必死の行動に走り始めている。アイルランドの6大銀行は預金が増え、株価が反騰する一方で、他国の一部の銀行預金は流出を始めており、「域内で危機を増殖させてどうするのだ」と怒りの声が出ている。

 欧州連合(EU)は、03年のイラク戦争や、最近の欧州憲法の簡略化版である「リスボン条約」の批准を巡り分裂が目立っていた。今回、金融危機への対処次第では、EU発の世界危機の発生、さらなるEUの求心力と国際的な地位の低下を招きかねず、岐路に立たされていると言える。

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