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2008年10月05日(日) 21時07分

<欧州4カ国首脳会議>金融危機抑止へ新機関…銀行を監督毎日新聞

 【ロンドン藤好陽太郎】欧州に拡大した金融危機への対応を協議するため開かれた欧州4カ国首脳らによる緊急会議は4日、欧州連合(EU)に欧州全域の銀行の監督と国際協力を手がける機関の創設などを盛り込んだ声明を発表して閉幕した。しかし、当初浮上した銀行救済基金がまとまらないなど足並みの乱れも目立ち、危機抑制に向け即効性は期待しにくい状況だ。

 会合には、EU議長国フランスほか、英国、ドイツ、イタリアの首脳らが参加。声明は「金融システムの健全性と安定性を確立するため、あらゆる必要な手段を取る」と強調した。銀行の監督機関創設ほか、危機発生時の枠組みの確立、監督当局や中央銀行も動員する、と明記した。欧州には国家予算の数十倍の資産を持つ銀行があり、公的資金の投入などで時間がかかり、危機が拡散するのを避ける狙いだ。

 また、EU加盟国には、財政赤字を国内総生産(GDP)の3%以内に抑制する安定成長協定が義務付けられているが、一時、棚上げを決めた。今後、銀行救済や景気浮揚策のため、財政出動が必要となる可能性が高いため、柔軟に運用する。さらに、資金繰り難に陥っている中小企業に配慮し、欧州投資銀行を活用して300億ユーロ(約4兆3000億円)の支援を行う。

 預金保護については、欧州委員会が年内に共通の規制を導入する方向。主要国は経営危機に陥った銀行の経営責任の明確化など、救済の前提条件で足並みをそろえたが、危機対応は、個別の対応に委ねられた。フランスが創設を打診した当初3000億ユーロ規模の銀行救済基金は、ドイツなどの強い反対があり、提案しなかった。

 今後、EU財務相会議で具体策を詰める。フランスのサルコジ大統領は主要8カ国(G8)と中国、インドによる緊急会議の開催を呼びかける方針だ。

 欧州では、米国の低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)関連の証券化商品を多く保有する銀行が目立ち、最近は資金繰りに行き詰まり、国有化が相次ぐ事態に追い込まれていた。

 ◇欧州4カ国首脳らによる声明の骨子◇

 一、欧州連合(EU)に域内の銀行の監督と国際協力を担う機関を創設する

 一、欧州投資銀行を活用して300億ユーロの中小企業支援を行う

 一、財政赤字基準を柔軟に運用する

 一、預金保護制度を拡充する

 一、主要8カ国(G8)などによる緊急会議の開催を提案する

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