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2008年10月05日(日) 20時49分

<時津風部屋>親方、謝罪の断髪式 異例の相撲甚句も毎日新聞

 大相撲元幕内力士、時津海の時津風親方(34)=本名・坂本正博=の断髪式が5日、東京・両国国技館で行われた。親方は、力士暴行死事件のあった時津風部屋を昨年10月に継承した。

 母校・東京農大や郷里の長崎県の関係者ら約310人が大いちょうにはさみを入れた。最後の「止めばさみ」は、本来は引退時の師匠が入れるが、先代親方である山本順一被告(58)は、暴行死事件のために協会を解雇され、その後傷害致死の罪で起訴されている。このため師匠不在という異例の式となり、止めばさみは02年まで日本相撲協会理事長を務めた先々代の内田勝男さん(71)=元大関・豊山=が入れた。入門時の師匠で、東京農大の先輩でもある内田さんは「彼は志半ばでの引退だったと思う。(止めばさみを入れたことは)私のつらいさだめだろう」と沈痛な面持ちで語った。

 また年寄襲名を祝う相撲甚句の歌詞にも、「これから三役というときに/突然起こった大変事/十字架背負って引退も/やむなし涙の決断は/男気あふれたいばら道」と、部屋継承のために引退せざるを得なかった無念さが盛り込まれた。

 式後、土俵上でマイクを握った時津風親方は「不祥事でご迷惑と心配をかけて申し訳ありません」と謝罪。「弟子の育成に全力をそそぎ、新しい時津風部屋を築き上げます」とあいさつすると、2階席まで埋まった館内から大きな拍手が送られた。

 部屋を継承して1年たったが、新弟子の入門はゼロ。7日からは名古屋地裁で暴行死事件の公判が始まる。親方は8日に証人として出廷する予定で、「しっかり言いたいことは言う。それが僕の務め」と語った。【飯山太郎】

 ◇きちんと誠意を

 斉藤俊さんの父正人さん(51)は「自分たちで『いばら道』を作ったのに、英雄を気取っているという印象を受けた。『男気あふれる』というなら、部屋としてきちんと誠意をみせてほしい」と語った。【岡田英】

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