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2008年10月05日(日) 20時06分

黒四ダム建設の苦闘を描いた「黒部の太陽」が舞台で再び脚光産経新聞

 “世紀の難工事”といわれた関西電力の黒部ダム(別名・黒四ダム、富山県立山町)建設の苦闘を描いた「黒部の太陽」が再び脚光を浴びている。昭和43年、石原裕次郎さん主演の映画公開から40年目にあたる今年、5日から大阪で舞台公演が始まったほか、来年春のテレビドラマ化も決まっている。

 「黒部の太陽」は、関西電力が昭和31年から約7年かけて完成させた黒部ダムを題材にしたもの。軟弱な地層に、資材運搬用の「関電トンネル」を建設するストーリーだ。

 5日から梅田芸術劇場(大阪市北区)で上演が始まった舞台「黒部の太陽」には、約1億円の制作費を投入。主演は中村獅童さんでトンネル内の出水シーンで毎分10トンの水を約4分間放出するなど、迫力の演出が見せ場になっている。同劇場によると9月以降、週末を中心にチケットが売れ出し、完売に近い日もあるという。

 石原裕次郎さんの製作・主演の映画はヒットしたものの、公開から今までビデオ化やDVD化されていない「幻の作品」でもある。そうした中、フジテレビが来年春のテレビドラマ化を決定、準備に入っている。主演にSMAPの香取慎吾さんを起用するほか、小林薫さんら豪華俳優陣が脇を固める計画だ。今月から撮影を開始、全国で大掛かりなロケを敢行する。

 「黒部の太陽」が注目される背景には、困難を承知で挑んだダム建設を通じ、元気のない日本企業、ひいては日本に「復活を期待している」(関係者)との見方が強い。原油高や金融不安による景気低迷、モラルが問われる不祥事など高度成長期をたくましく生きた企業との違いを憂える声も出ている。

 苦難の末に成し遂げた先人の精神を“くろよんスピリット”と呼ぶ関西電力では舞台とテレビドラマをサポート。ダム建設記録誌や資料映像はもちろん、当時の工事プロセスや作業服などリアリティーのある演出に一役買っているという。

 舞台公演が始まった梅田芸術劇場の2階にも、PRエリアを設置。黒部ダム建設記録映像の放映や関電グループ会社で展開している関連事業のポスターやパンフレットを展示している。

 「会社が一丸となって挑んだ不屈の精神は今も社内に脈々と根付いている」(森詳介・関西電力社長)といい、“くろよんスピリット”をアピールしたい考えだ。

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