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2008年10月04日(土) 00時00分

借金の頼み 断れぬ母読売新聞

 50歳代主婦。父は数年前に亡くなり、80歳代の母は実家で一人暮らしです。

 実家の隣人は自営業をしています。親切な方で、父が病気で体が不自由だったこともあり、父母ともにお世話になってきました。

 隣人は、この夏、資金繰りが苦しくなり、「50万円貸してほしい」と母のところへ来たそうです。母は日ごろから頼りにしてきた隣人に頭を下げられ、断り切れず、「今回限り」のつもりで貸したようです。「月末に返す」約束の借用書もあり、その時は、母は私たち身内には知らせませんでした。

 約束通りに返済してもらえましたが、改めて借金を申し込まれ、母はまた貸してしまったそうです。隣の奥さんは借金については知らないそうです。

 今後、金銭トラブルにならないとも限りません。金額も大きく、年金暮らしの母は悩んでいます。(奈良・F子)

 お母さんが、2度もお金を貸してしまったのをみると、隣人は、お母さんが小金を持っていて、頼み込めば何とかなると、見抜いてしまったようですね。

 金銭トラブルを避けるには、今後、絶対にお金を貸さないことが肝要ですが、ご高齢なので、お母さんが借金を断り切れない心配があります。そこで、当面、あなたが預金通帳や印鑑を預かり、お母さん一人では大口のお金が自由にならないようにしたらいかがですか。そうすれば、「お金がない」と言って、借金を断りやすいと思います。

 そして、隣の奥さんにも、お金を貸したことを、話しておきましょう。妻には夫の借金を返す法的責任はないものの、借金の存在を知らせておいた方が、返済に関し何かと協力してもらえると思います。

 お母さんの生活を守るために「任意後見制度」を利用する方法もあります。これは、判断能力がなくなる前に、信頼できる人に財産管理を任せる契約をしておく制度です。詳しくは、市区町村の法律相談で、アドバイスを受けて下さい。

 (土肥 幸代・弁護士)

http://www.yomiuri.co.jp/jinsei/kinsen/20081004-OYT8T00212.htm