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2008年10月04日(土) 08時05分

こんにゃくゼリー業界が事故防止策 警告拡大、回収はせず産経新聞

 ■行政権限なく自主規制頼み

 こんにゃくゼリーの販売は継続、商品回収も行わない−。兵庫県の男児がゼリーをのどに詰まらせて死亡した事故を受け、農林水産省は3日、再発防止策について業界団体の全国菓子工業組合連合会、全国こんにゃく協同組合連合会などから報告を受けた。同ゼリーによる死亡事故が続発しているが、衛生上の問題はないことなどから、販売規制はできないのが実情。農水省も強制権限を持たないため、対策は業界の自主規制に委ねられている。

 9月30日に兵庫県の事故が公表された直後、農水省は「子供や高齢者は食べないで」という警告表示を大きくすることや、子供向け菓子と分けた販売の要請など、再発防止策を取ることを業界団体に求め、取り組み状況を3日までに報告するよう通達した。

 これを受け、業界団体側は同日夜、取り組み状況を報告。商品の表面やカップごとに警告を入れるなど対策を示した。一方、販売継続を確認し、商品回収も行わない方針を示した。

 現行では、こんにゃくゼリーの販売を規制する法律はない。大きさや形状が原因でのどに詰まることはあっても、衛生上の問題はないため、厚生労働省も保健所も「食品衛生法の規制外」として、回収命令などは出していない。

 加工食品の安全確保を義務づける製造物責任(PL)法にも行政の規制権限の規定はなく、偽装表示もないため農水省も是正指示や命令は出せない。

 野田聖子消費者行政担当相は2日、製造メーカー「マンナンライフ」(群馬県富岡市)に自主回収を求めたが、強制はできなかった。

 消費者庁の業者への勧告、命令権限を定めた消費者安全法案は今国会に提出されているが、未成立。農水省も「対策徹底を指導するしかない」としている。

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