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2008年10月04日(土) 23時38分

文豪・志賀直哉邸復元へ 奈良市高畑町産経新聞

 小説「暗夜行路」で知られる文豪、志賀直哉(明治16〜昭和46年)が暮らした奈良市高畑町の旧居(登録有形文化財、昭和3年築)について、所有者の奈良学園(同市)は4日、直哉自身が設計したとされる当初の姿に復元する方針を明らかにした。公開部分も広げる予定で、直哉の美意識が伝わる邸宅が来春以降に全面的に見学できそうだ。

 直哉は昭和4〜13年にこの邸宅に住んで執筆活動に取り組み、「暗夜行路」も完結させた。武者小路実篤ら白樺派の文人、画家らが集まり、「高畑サロン」とも呼ばれた。旧居は木造2階建て延べ約410平方メートル。数寄屋造りが基調だが、洋風の娯楽室やサンルームも取り入れている。直哉が暮らした後は旧厚生省の宿泊施設などに使われ、模様替えが繰り返されてきた。

 呉谷充利・相愛大教授(建築・文学)が当時の写真をもとに調査した結果、現在の邸宅を囲む漆喰(しっくい)塗りの塀はもとはひなびた土塀だったことを確認。2つの子供部屋を仕切る壁に窓が存在したことや、サンルームの鴨居(かもい)の高さなどが変更されていることも分かった。復元工事では、できるだけ当初の姿に近づけ、直哉の時代の雰囲気を味わえるようにするという。

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