ドイツ有数のITセキュリティー会社G DATAが、2008年上半期のコンピューターウイルス、スパイウエアなど「マルウエア」と、スマートフォンにおけるウイルスの状況調査結果を発表した。
それによると、08年は年初から “マルウエア産業”活動が急激に加速、1日平均約1500件の新しいマルウエアが、ウィンドウズユーザーに向けて放たれた。その結果、半年間で約32万件の新しいマルウエアが出現、この段階で昨年1年間に採集された数を超えてしまった。このままいくと通年で昨年の5倍以上の増加となると見られる。
この爆発的なマルウエアの増加についてG DATAのラルフ・ベンツミュラー・ウイルス研究所長は「オンライン犯罪はマーケティングを重視した産業複合体になり、分業体制も敷かれている。その結果、マルウエアの大量生産が可能で、非常に生産的な犯罪者ネットワークも出来ているため、このマルウエア氾濫状況は簡単には終わらない。08年は悪化が著しかった年としてインターネット史上に刻まれることになるだろう」と指摘する。
マルウエア制作者たちは現在、ブラウザー、または「Flash」や「Adobe Reader」などといったソフトのセキュリティーホールを狙っており、これまで信じられてきたようなポルノ関連サイトを舞台としているのではないという。また、新種マルウエアのターゲットは、ネットバンクのアカウントやクレジットカードの登録情報、オンラインゲームのためのアクセスデータの取得などだ。
一方、大多数のスマートフォンのウイルスは実際の危険性が低く、半年で41件が見つかったにすぎないが、「日本では、セキュリティー面で安全に使用できる携帯電話が広く普及しているため、スマートフォンも同様に安全だと思い込むことにより、犯罪者に隙を見せる恐れがある」と警告している。(2008年8月24日発売「YOMIURI PC」2008年10月号から)