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2008年10月01日(水) 15時56分

麻生・小沢両党首が全面対決、代表質問は所信表明合戦にロイター

 [東京 1日 ロイター] 国会は1日午後の衆院本会議で、麻生太郎首相の所信表明演説に対する各党代表質問が行われた。しかし、トップバッターにたった民主党の小沢一郎代表は、麻生首相が民主党に逆質問を展開した所信表明演説を批判。
 「明白な理念も具体なビジョンや政策も全く示されていない。唯一、具体的なものは民主党に対する誹謗(ひぼう)中傷だけだ」とした上で「(自身の)所信を申し上げることにより総理への答弁としたい」と述べ、政治理念と政権構想を語る異例の所信表明合戦となった。
 <小沢「速やかに総選挙を」 VS 麻生「解散は私が決める」>
 小沢代表は質問の冒頭から、安倍・福田両政権が1年足らずで政権を投げ出したとし「与党が政権を担う能力を失ったならば、直ちに野党に政権を渡し、総選挙を行うのが議会制民主主義の道筋だ」として衆院解散・総選挙を迫った。
 自公政権による政策で「格差大国」になったと糾弾し「小泉(純一郎)政権以来の市場万能と、弱肉強食の政治で生じたこの格差と不公正を放置すれば、日本の経済・社会は根底から崩れ、国民生活が崩壊する。だからこそ、今、日本を変えなければならない」と強調。そのための新しい仕組み作りの核心は「税金の無駄使いを際限なく再生産している官僚任せの財政運営構造を大転換し、国の予算の総組み替えを断行すること」と語った。
 その上で小沢代表は総選挙の最大の争点は「無駄遣いを続ける今の税金の使い方を許すのか、民主党を中心とする政権に代え税金の使い方を根本的に変えるのか。その選択だ」と主張した。
 これに対して麻生首相は、首相が短期間で交代したことで国民に迷惑をかけたと陳謝しながらも「そのことと自民党が政権担当能力を失ったがどうかは全く別の話だ。日本の未来に責任を持てるのは自民党であると固く信じている」と反論。
 所信表明演説で喫緊の課題として質した「補正予算案、消費者庁法案、インド洋での補給支援活動継続」への賛否に対して、小沢代表が立場を明確にしないことを批判。「いたずらに審議を長引かせ、結論を先送りするのは国民に対する責任の不履行だ」と語った。
 小沢代表が「速やかに総選挙を実施し主権者たる国民の審判を仰ぐのが常道だ」と迫ったのに対し、麻生首相は「解散は、私が決める」とはねつけた。
 <民主の政権公約実現には20.5兆円の財源要>
 小沢代表はこの日の代表質問の中で、民主党の政権構想の実行手順(工程表)と財源を説明し、財源の裏付けがないとの批判に対抗した。
 小沢代表によると、政権構想実現に必要な経費は、初年度の2009年度が8.4兆円、4年後の2012年度には20.5兆円になるとし、その財源は税金の無駄の排除や「埋蔵金」も活用し、一般会計と特別会計をあわせた国の予算212兆円の組み換えでねん出するとした。
 政策実現は3段階に分け、第1段階の2009年度にはガソリン税などの暫定税率を廃止し、2.6兆円の減税を実施。さらに高速道路の無料化や子供手当ての創設、医療改革などは2009年度から一部実施し、第2段階(2010年度─2011年度)に完全実施するとした。
 農業の個別所得補償は2009年度に法律を制定し2012年度に完全実施することや、消費税の税収全額を年金財源とする最低保障年金制度は、制度設計、法案化、法律制定を行い、2012年度に実施することなども明らかにした。
 (ロイター日本語ニュース 吉川 裕子)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081001-00000415-reu-bus_all