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2008年10月01日(水) 12時37分

【個室ビデオ店火災】「こんな現場は初めて」消防隊員、惨状を語る産経新聞

 15人が死亡した大阪・ミナミの個室ビデオ店火災。深夜の繁華街、猛火にあぶりだされた宿泊客らが、逃げまどう中、消防のプロたちもあまりの惨状に顔色を失った。「こんな火災現場は初めて…」。消火活動を指揮した大阪市消防局警防部の木村雅之さんは当時の状況を振り返り、こう話した。

【個室ビデオ店火災】爆発音聞こえた? 病院搬送の負傷者が証言

 消防指令に一報が入ったのは午前2時59分。救助隊は2隊8人が1階と上階に別れて進入した。現場は1階から激しく火が出ており、店外で男性が倒れていたという。

 猛煙で50センチ先も見えない状況。救助隊はライトで部屋を照らしながら前に進み、両側に試写室が並ぶ廊下の真ん中付近で熱気が立ち込めいったん撤退したが、消火剤をまいて火の勢いを弱まらせた後、店内の奥に倒れた人を救出した。ソファに寝ころんだままの人やいすに腰かけたまま人が多く、「一瞬で煙に巻かれたような状態だった。遺体は顔がすすけた程度で、やけどの跡はあまりなかった」という。木村さんは「生きているうちに助けたかった」と無念そうな表情を浮かべた。

 また、市消防局は1日午前、同市西区の消防局庁舎で記者会見を行い、昨年5月にキャッツを立ち入り調査した際、重大な問題はなかったことを明らかにした。

 消防法では、同店には消火器や屋内消火栓、火災報知機、避難器具、誘導灯、連結送水管の設置が義務づけられている。市消防局は平成19年5月に立ち入り検査を実施、個室ビデオ店への用途変更届の提出など4点の是正を指導したが重大な欠陥はなかったという。

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