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2008年10月01日(水) 00時00分

近所の子供預かる義母読売新聞

 30歳代主婦。年に1、2回、子どもを連れて田舎の義母を訪れ、1週間ほど過ごします。義母は早くに夫を亡くし一人暮らしですが、義母宅には近所の人がよく集まり、支え合いながら暮らしているようです。

 私が困っているのは、私たちの帰省中にもかかわらず、義母が近所の子を預かることです。その子は義母の友人の孫。義母は赤ちゃんのころから自分の孫のようにかわいがり、今でも一番面倒をみています。

 私たちは毎回たくさんのお土産を持って高い旅費をかけて帰省するのです。「長旅で疲れているから帰省初日は預からないで」と義母に頼むのですが、その子がやってくると受け入れてしまいます。外出する時も一緒に連れて行き、食事代も義母持ち。私にもなついてかわいいけれど、よその子の食事まで用意すべきなのか疑問に思います。私も親孝行をしたいのです。こんなことで何年も悩んでいます。(千葉・T美)

 お土産に頭を悩まし、高い旅費をかけて帰省して、夫の母親に親孝行をしようというあなたの真摯(しんし)な気持ちはよくわかります。あなたが一生懸命なだけに、あなた方一家のもてなしに専念してくれない義母へのいらだちも募るのでしょう。

 しかし、義母には、あなた方が帰省しない間の長い生活があります。「郷に入っては郷に従え」という言い伝えもありますが、帰省した時は、今の義母の生活をまずは受け入れ、そこにとけ込む努力が大切です。

 義母はよその子の世話を押し付けられているわけではなく、むしろ喜んで引き受けているのではないでしょうか。人から感謝され、必要とされる喜びは、誰にとっても生きる力につながるほど、大切なものです。

 義母は夫を早くに亡くし、様々な苦労を重ねてきたことでしょう。無事子どもを育て上げ、今日まで元気に暮らしてきたのは地域の方々の支えあってのことと思います。帰省時には義母のこれまでの生活の苦労や喜びに耳を傾けて下さい。

 お世話になった地域の役に立ちながら穏やかに暮らしている義母の心境も理解できるのではないかと思います。

 (大日向 雅美・大学教授)

http://www.yomiuri.co.jp/jinsei/kazoku/20081001-OYT8T00264.htm