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2008年09月30日(火) 08時01分

三浦元社長、ロス移送へ 共謀罪論争に賭け産経新聞

 【ロサンゼルス=松尾理也】ロス疑惑銃撃事件で米自治領サイパン島で拘置中の元会社社長、三浦和義容疑者(61)=日本で無罪確定=の弁護団は29日、北マリアナ連邦地裁に申し立てていた人身保護請求を取り下げた。三浦容疑者側が移送に同意したことで、ロス市警はただちに係官をサイパンに派遣し、実際の移送手続きに入るとみられる。逮捕から7カ月、膠着(こうちゃく)状態が続いていた事件はロスに舞台を移し、攻防は新たな段階に入る。

 弁護側はこの日午前に開かれた審理で、徹底的に移送に反対してきたこれまでの姿勢から一転し、請求取り下げを表明。これを受けて連邦地裁は、出されていた移送の一時停止命令を解除した。

 審理には、三浦容疑者本人も出廷した。三浦容疑者はこの日朝、弁護団との打ち合わせで「カリフォルニアでたたかうときが来た」と述べ、ロスへの移送に同意したという。

 姿勢転換の背景には、ロス郡地裁で26日に言い渡された逮捕状無効申し立てに対する判決で、殺人罪での逮捕を無効とする判断を勝ち取った上、有効とされた共謀罪による逮捕についても、さらに論争の余地があると弁護側が判断していることがあるとみられる。

 三浦容疑者がロスに移送されれば、48時間以内に裁判所に出頭し、罪状認否に臨むことになり、そこで無罪を主張すると、容疑者を起訴するかどうかを検討する手続きに入る。

 市民からなる陪審員が決める「大陪審」と、裁判官の下で証拠を審理する「予備審理」の2つの選択肢があり、今回、検察側は予備審理の道を選ぶとみられている。

 ただし、ロスで三浦容疑者の弁護を担当するゲラゴス弁護士は、予備審理の前に、独立した申し立てとして、共謀罪による逮捕の取り消しを求める訴えを起こす方針を示唆している。この場合、通常なら罪状認否から約10日で始まる予備審理の日程は、大きくずれ込む可能性が高い。

 このほかにも本裁判が始まるまでにはいくつもの関門が控えており、審理はまだまだ長期化しそうだ。

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