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2008年09月30日(火) 21時14分

出資勧誘の一部に違法性 相互信金に2400万円賠償命令産経新聞

 破綻(はたん)した相互信用金庫(大阪市)の出資者528人が、同信金と国に総額約17億6000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、大阪地裁であった。松田亨裁判長は原告15人について「出資を勧誘された際、信金担当者からの具体的な説明がなく、出資と預金を混同していた。信金側に説明義務違反の違法性がある」として、同信金に計約2400万円を支払うよう命じた。

 しかし、残る大半の原告については「当時は現実的な破綻の危機はなかった。出資は預金と異なり破綻すれば戻らないことを了解可能だった」と棄却。国への請求も「信金の違法な勧誘行為を認識し得たとはいえない」として退けた。原告側は「不当な判決」として控訴する方針。

 判決によると、信金側は金融庁の検査に備え、平成10年4月からの2年間で約26億円から85億円に増資したが、14年1月に債務超過となり破綻、出資金は返還されなくなった。原告側は、信金側が破綻回避の目的を告げずに出資を持ちかけ、預金を出資に変更させたと主張。国の責任について「異常な出資金集めに対し適切な監督権限を行使しなかった」と訴えていた。

 判決後、原告側は大阪市内で記者会見。出資金310万円が返還されず、敗訴した大阪市淀川区の関井イチ子さん(79)は「破綻の1週間前にも出資を求められ、10万円を出した。なぜ認められないのか。控訴して頑張りたい」と話した。

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