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2008年09月28日(日) 13時05分

NTT東西の電話料金 消費者物価上昇でも総務省値上げ認めずJ-CASTニュース

 総務省がNTT東日本とNTT西日本の加入電話と公衆電話の料金について、国内の消費者物価指数が上昇しても値上げを認めず、現行のプライスキャップ(上限価格)規制を09年以降も3年間継続する見通しとなった。総務省の「電気通信サービスにかかる料金政策の在り方に関する研究会」が報告書の中で明らかにした。今後、国民の意見を聞いたうえで年内にも最終判断する。電力料金などが値上げとなる中、電話料金の上限規制の据え置きは消費者にとって朗報と言える。

■08年7月の消費者物価指数は前年同月比2.4%上昇

 NTTの料金には総務省の規制がかかっており、今回は3年に一度の見直しに当たる。電話料金の算定は一般に馴染みが薄いが、総務省とNTTなど通信業界の綱引きで料金が決まる。総務省は景気に配慮し、国民の目線に立った料金規制を実現したと自画自賛するが、NTT東西はライバルとの競争で料金の引き下げは既に進んでおり、政府の上限価格規制など意味がないとする立場で、両者の認識はすれ違っている。

 言うまでもなくNTT東西の電話料金は公共性が高く、景気停滞と物価上昇が予想される中、料金引き上げは国民生活や日本経済に与える影響が大きい。携帯電話の普及で加入電話が減少し、公衆電話の維持も困難となっているが、総務省はNTT東西に値上げを認めず、さらなる経営効率化を求めることになった。

 加入電話市場は事実上、NTTの独占に近いため、総務省が消費者物価指数の変動やNTT東西の生産性向上見込率などを算出し、料金の上限価格を定めている。電気通信事業法に基づく措置で、NTT東西は上限価格を超える料金を原則として届け出ることができない。

 上限価格は00年4月1の料金を100とした基準料金指数で表される。加入電話と公衆電話の通話料の指数は02年10月以降92.7、加入電話の基本料の指数は00年10月以降100で変更していない。次回は09年10月の改定となるが、研究会が報告書をまとめる直前の08年7月の消費者物価指数が前年同月比2.4%上昇し、約16年ぶりの高さとなるなど、今後も物価上昇が予想されるため、次回の上限価格が注目されていた。

■他社との競争で、実際は上限価格下回る価格

 総務省の研究会はNTT東西などからヒアリングを行って検討した結果、「加入電話と公衆電話は国民生活に必要不可欠なサービス。物価上昇期でも値上げを抑制すべきだ」との結論を得た。

 国内の電話契約数は、00年度に携帯電話が6094万件、加入電話が5226万件と逆転して以来、携帯電話が伸び、加入電話は減少傾向にある。公衆電話はNTTが民営化した85年度の90万台から06年度は36万台に減少し、NTT東西とも利用者減から営業赤字となっている。しかし、総務省は物価上昇に伴うコストは、NTT東西の経営努力で吸収できると判断した。

 これに対し、NTT関係者は「電話料金は他社との競争が進み、実際は上限価格を下回る価格となっている。規制があろうがなかろうが、経営の効率化を目指したい」としており、上限規制など関係はないということのようだ。


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