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2008年09月28日(日) 00時07分

「辞任は当然」「国会の矢先に…」 中山大臣辞意産経新聞

 ▼国交省

 週末の「大臣辞任の意向」のニュースに、国交省幹部は「これから国会が始まり大臣を先頭に仕事をしようというときに…。職員への士気など影響は決して少なくない」と肩を落とした。先の国会で道路特定財源をめぐる無駄遣いや公用車管理業務をめぐる談合疑惑などで批判にさらされた国交省。別の幹部は「新しい体制でスタートを切ろうとした矢先に残念だ」。  「危険な人が来た」。国交省内では就任直後から、記者会見などで過剰なまでに道路整備の必要性を訴える姿勢にこんな評判が立っていた。

 成田空港の拡張に関する「ゴネ得」、「日本は内向きな単一民族」、「日教組の子供は成績が悪くても先生になる」。失言3連発は組閣翌日の報道各社とのインタビューで飛び出した。「ゴネ得」と「単一民族」発言については撤回した。ある幹部は「日教組に関する発言はわれわれの仕事とは別次元。国会直前だけにわれわれの職務にも影響がでるだろう」と漏らした。

 ▼成田・アイヌ民族

 「あれだけの失言をしたうえで、大臣の職責を全うするのは厳しい。辞任は致し方ない。国交相は成田空港の歴史を認識し、地元への理解を持った人に担当してもらいたい」

 成田市の小泉一成市長は厳しいコメントを発表した。成田空港を運営する成田国際空港会社の幹部は「空港の歴史について話をする前の辞任は、非常に残念だ」と拍子抜けした様子だった。

 北海道のアイヌ民族からも「辞任は当然」などの厳しい発言が相次いだ。26日に国交省を訪れ、中山氏に発言の意図をただした北海道ウタリ協会の加藤忠理事長は「謝罪はしていたが、なぜあのような発言をしたのか、結局よく分からなかった」と首をかしげる。「政府は、日本が真の人権国家になるため、啓発活動を徹底すべきだ」と注文を付けた。

 ▼教育関係者

 「辞任は当然だが、発言の撤回も謝罪もないままでは問題の解決にならない」。日教組の岡本泰良書記長はそう中山氏を批判した。

 中山氏は文教族。小泉内閣の文科相在任中に「ゆとり教育」の見直しや、全国学力テスト導入など「近年の教育改革のレールを敷いた」(文科省幹部)だけに、同省内では、早すぎる“退場”を惜しむ声も。

 一方、教育関係者からは「この発言で辞任なら日教組批判がタブー化しかねない」との声があがった。元参院議員の教育評論家、小林正氏は「道徳教育などに否定的な日教組が教育の障害物であることは事実だ」と中山氏を擁護。「辞任によって日教組にものが言えなくなれば、教育再生が遠のく」と話した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080927-00000570-san-pol