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2008年09月28日(日) 03時01分

早期幕引き図る与党、任命責任を追及の民主…中山氏辞意読売新聞

 中山国土交通相が自らの発言を巡って辞意を固め、組閣からわずか4日の麻生政権は出足から大きくつまずいた。

 与党は中山氏の早期辞任で幕引きを図り、11月2日投開票の日程で準備を進める衆院選への影響を最小限にとどめたい考えだ。

 一方、2008年度補正予算案の成立への協力と「話し合い解散」を与党に持ちかけていた民主党は、中山氏の発言や首相の任命責任を追及した方が選挙に有利と見て、対決姿勢を強めている。衆院解散・総選挙をにらんだ与野党の攻防は激しさを増している。

 自民党幹部は27日夜、中山氏がこの日も「日教組を解体しないといけない」などと発言したことについて「既に辞任を覚悟し、一方で教育問題では自らの信条を曲げる考えはないことを強調したかったのだろう」と解説した。

 中山氏が辞任すれば、国会審議への影響も避けられない。

 与党は、緊急経済対策を盛り込んだ補正予算案の審議に民主党が応じた場合は「話し合い解散」の可能性を探り、野党が審議引き延ばしに出た場合はただちに衆院解散に踏み切る「両にらみ」戦術だった。

 だが、野党が中山氏の罷免を要求し、麻生首相の任命責任も追及する構えを強めていることから、「話し合い解散の可能性は限りなく小さくなった」と見ている。

 首相が前向きな予算委員会での補正予算案審議も、自民党内には「野党に一方的な攻勢のチャンスを与えるだけ」として、予算委を開かず、10月3日の代表質問最終日に衆院解散すべきだとの声が出始めている。

 与党側には現状を、衆院選に向けた「三重苦」とする見方がある。麻生内閣の支持率が「思ったほど高くなかった」(自民党幹部)こと、小泉元首相の引退表明が「自民党は小泉さんに見限られた」などとして自民党批判に利用されていること、そして、今回の中山氏を巡る問題だ。自民党の若手からは「こんな逆風下の選挙は自殺行為。来年に先送りすべきだ」といった声も漏れる。

 ただ、与党が描いてきた衆院解散・総選挙の流れは止められないとの見方が専らだ。公明党幹部は「既に11月2日投開票を前提に走り出している。ここで逃げれば、今よりもっと状況は悪化する」と主張。首相周辺も、「民主党の小沢代表との『党首力』を前面に打ち出せば、十分に勝機がある」との立場だ。

 その小沢氏は27日、京都府亀岡市で講演し、「多分、10月3日に解散されるのではないか」と述べ、予算委が開かれずに衆院が解散されるとの見方を示した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080927-00000063-yom-pol