記事登録
2008年09月28日(日) 00時23分

首相の任命責任甚大 政権に致命傷か中国新聞

 【解説】中山成彬国土交通相の辞任は、発足間もない麻生政権を大きく揺るがしそうだ。麻生太郎首相は辞任で幕引きを図る構えだが、不適切発言を連発する人物を入閣させた首相の任命責任は甚大。民主党と雌雄を決する次期衆院選目前の辞任劇は、政権自体の致命傷になりかねない。十一月上旬の衆院選をにらむ首相の解散戦略にも影響を与えそうだ。

 中山氏の発言は弁解の余地がない。個人的な信条のようだが、閣僚となれば言動の及ぼす影響は大きく、慎重さが求められる。実際、中山氏は二十五日の発言を撤回、謝罪している。安倍内閣以来、繰り返される「閣僚の失言—撤回・陳謝—辞任」という失態は、日本政治のレベルを疑わせるものだ。

 中山氏は当初、行革担当相を提示されながら固辞。首相が他の閣僚ポストと再調整した結果、国交相となった。派閥への配慮や本人の希望を優先し「適材適所」を怠ったつけだ。失言後、首相が問題解決に指導力を発揮していない姿勢も問われよう。

 “国民的な人気”を自負し、民主党の小沢一郎代表との「太郎・一郎対決」に挑む首相は、自らを一枚看板とする陣立てで政権をスタートさせた。そのとたん、「脇役」が足を引っ張る事態となったのは皮肉だ。がけっぷちに立つ自民党。首相自身が総裁選の圧勝に酔い、政権の危機に思いが至らなかったのだとしたら、衆院選での苦戦は免れないだろう。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200809280221.html