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2008年09月28日(日) 12時00分

小泉元首相:正式引退表明 「非情さ」影潜め 講演会で感謝の言葉 /神奈川毎日新聞

 横須賀市で27日、次期衆院選には立候補しない考えを正式表明した小泉純一郎元首相(66)=神奈川11区。05年の「郵政解散」などではメディアを巧みに利用した元首相だったが、引退表明の舞台は地元。支援者への感謝の言葉を繰り返し語り、一部で「世襲批判」を受ける後継の次男進次郎氏(27)を気遣うなど、首相在任中の「非情さ」は影を潜めた。
 「ご心配いただき本当にありがとうございます。感無量です」
 小泉氏はこの日、選挙区内の横須賀、三浦両市で講演会を開いた。横須賀での冒頭、支持者らに感謝すると、割れんばかりの拍手がわき起こった。
 小泉氏は「まず地元に言うべきだと思い、報道されるまで誰一人国会議員には言わなかった。マスコミのインタビューにも一切応じていない」と今回の“引退劇”の裏側を披露。「今は感謝とほっとした気持ちの両方。力強い支援をもらい、36年間本当にお世話になった」と続けた。
 さらに「私も3代目で『世襲』とずいぶんと批判された」などと振り返り「ちょっと申し上げにくいですけど……」と照れ笑いしながら米シンクタンクの非常勤研究員で秘書の進次郎氏を紹介。「政治家になれとは一言も言ってない」「シンクタンクに入ったので少しは興味があるのかと思い聞くと『できたら政治家をやりたい』と(答えた)」などと自慢の「小泉節」も釈明調に。「今度は選挙区、後援会もやりますから、よろしくお願いします」と締めくくった。
 会場に詰め掛けた支持者らは複雑な表情。主婦の阿部登美子さん(60)は「気取らない、率直なところが好きだったけど、残念。『お疲れ様でした』と言ってあげたい。後はのんびりしていただきたい」。自営業の堀江敏明さん(63)も「小泉さんにはもう少しやってほしかったけれど、引き際が大切なんだろう」と残念がった。
 また、自営業の朝倉淳さん(45)は次男の後継について「世襲は悪いという印象があるが、悪い面だけではないと思う。政治家の環境で育ったからこそ考えられることもあると思う」と理解を示していた。【笈田直樹、吉田勝、山衛守剛】

9月28日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080928-00000032-mailo-l14