記事登録
2008年09月27日(土) 16時48分

田辺市「果実酒特区」申請へ 消費・販路拡大に期待(和歌山)紀伊民報

 田辺市は、特産物の梅やミカンなどを使った果実酒の製造販売条件を緩和する特区に認めてもらうよう、国に申請することを決めた。果実の栽培が盛んな紀南地方では、梅生産量全国一のみなべ町が梅酒特区に認められたばかり。田辺市は梅の生産量がみなべ町に次いで多く、ミカンなどの栽培も盛んなことから、梅だけでなく「果実酒特区」として申請する。市は農家らの事業機会の拡大に期待している。
 果実酒特区が認められると、地域の特産物として指定した果実や農産物を地域内で酒類にする場合、年間の最低製造量の基準が低くなる。酒税法では年間最低6キロリットルの酒を製造しなければ免許が下りないが、特区ではワインなどの果実酒が2キロリットルに、梅酒などのリキュール類が1キロリットルに引き下げられる。
 申請名は「紀州田辺の特産果実酒・リキュール特区」。対象品目は梅のほか、スモモ、ミカン、ブドウ、晩柑類(ハッサク、ポンカン、ネーブル、清見など)。
 市梅振興室によると、自家製の梅干しを販売する店舗では、製造量が数量基準に満たないため梅酒を販売できず、客から「梅酒はないのか」との問い合わせがあった。農家や農協、梅加工業者などからも、全国有数の果樹産地として特区の認定は受けておいてほしいとの要望があったという。
 課題として、実際に酒類の製造事業をするには酒税法や食品衛生法に基づき、製造・販売免許の取得や酒税の申告納税、製造施設の許可などが必要になる。設備投資費もかかるため、採算を考えて計画的に事業を始める必要がある。
 市梅振興室は「特区に認められて最低製造数量が引き下げられれば、梅やかんきつ類などの消費や販路拡大につながる。梅酒が主になるが、梅酒の市場は競争が激化しており、市内産の多彩なミカンや晩柑類を原料とする酒も申請することで可能性が広がる」と話している。

【関連記事】
製造、販売説明会に106人 「紀州みなべ梅酒」特区取得で (2008年08月27日更新)
保育所の給食特区に認定 9月から一括調理 (2008年08月23日更新)
みなべ町が「梅酒特区」に認定 少量でも販売可能に (2008年07月16日更新)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080927-00000004-agara-l30